コンビニエンスストアの立地店舗数を都道府県別に調べた結果を図示した。

 コンビニ店舗数・売上の推移や新規取り組みの推移については図録5616参照。

 人口10万人当たりの店舗数は全国区で44.8店となっているが、北海道が57.1店でもっとも密度が高く、山梨の55.9店、東京の53.5店がこれに次いでいる。セイコーマートの牙城である北海道はコンビニ激戦地としても知られており、データでもこれが裏付けられている。

 データは、各コンビニチェーンの公表値をまとめている久保哲朗「都道府県別統計とランキングで見る県民性」サイトから採っている。久保氏がこのサイトを作成しようと考えたのはコンビニ店舗数に関する疑問からだったという(注)

(注)久保氏は次のように述べている。
 「コンビニが日本一多いのは東京都」という報道に「東京は人口が多いからコンビニも多いのでは?単位人口あたりだとどこが多いんだろう?」という疑問を持ったのが当サイトの始まりです。ネットで探しても答えが見つからず、自分で人口比を計算しているうちにこんな大きなサイトになりました。(中略)過去に訪れたことがある都道府県を見るかぎり、町なかで見かけるコンビニの割合とだいたい合っているようだ。北関東でセーブオンを知り、関西でローソンの圧倒的な多さに驚いたように、旅の思い出とコンビニは深く結びついている。今となってはコンビニ分布の違いこそが故郷の風景なのかもしれない。

 東京は店舗数自体が全国で最も多いばかりでなく、人口当たりでも3位と上位に位置している。ただし、人口当たりでは1位ではない。

 人口当たりの店舗数が最も少ないのは、奈良の33.5店である。関東でも埼玉、神奈川など東京以外の周辺県、関西でも兵庫、奈良など大阪、京都以外の周辺県では人口当たりの店舗数が少なくなっている。

 通勤先である都心でのコンビニ利用が影響している可能性がある。東京のコンビニ店舗が多いのは、「若者が多い」、「流行の中心」ということだけでなく、「通勤流入人口が多い」せいでもあろう。シニア層のコンビニ利用が増えているので(図録5622参照)、いずれ、東京の地位は低下するかもしれない。

 全国的な分布状況としては、東日本の各県が上位に入っており、「東高西低」の傾向が認められる。

 各コンビニ・チェーンの中では、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンの三強と、それ以外のチェーン店の格差が広がっている。

(セブンイレブン)

 第1号店(豊洲店)が1974年5月にオープンしたセブンイレブンは、現在、国内最多であるだけでなく、2007年には小売業として世界最大のチェーン店舗数を達成している。

 セブンイレブンの人口当たりの分布を見ると関東・甲信越と西中国・九州で密度が高い。ただし、関東でも東京では他の2チェーンとの競合が激しい。また九州でも大分、鹿児島では他の2チェーンの後塵を拝している。

 セブンイレブンは「特定の地域へ集中的に出店する」というドミナント戦略を基に店舗展開を行っているため、3チェーン随一の店舗数の多さの割には未出店の地域がかなり多かった。例えば、3大都市圏の一つである名古屋ですら、21世紀に入るまで出店は無く、大阪への出店も1990年代以降と遅かった。その名残で地域的には濃淡が、なお、かなりある。

 福島県のセブンイレブン密度は全国トップクラスであるが、24時間営業を開始した日本初のコンビニは郡山市のセブンイレブン虎丸店である。1975年6月に本部の実証実験としてスタートしたので第1号店オープン後1年で現在の営業時間がはじまったことになる。

(ファミリーマート)

 西友の一部門としてスタートしたファミリーマートは1981年に独立。98年には伊藤忠商事の傘下に入っている。

 1号店は1973年9月に実験店舗としてオープンした「狭山店」(現・入曽店)。

 ファミリーマートは2010年3月1日に首都圏、関西、九州で展開するコンビニチェーン am/pm を買収し、2011年12月にファミリーマートへの転換を完了。2015年12月1日には九州や東海で店舗展開するココストアを吸収合併している。そして2016年9月1日はサークルKサンクスと経営統合し店舗数を増やしている。

 分布を見ると、愛知、岐阜、三重、石川、福井、沖縄などで密度が高く、サークルKサンクスの地盤だった中部地域などで店舗が多い。

(ローソン)

 ダイエーの子会社として1974年にスタートしたローソンは関西地区を中心に店舗を展開。1980年に東日本に拠点を持つサンチェーンと合併し、店舗を増やした。旧セーブオン、ポプラ、スリーエフのローソンへの転換が進んでいる。

 1号店は1975年6月オープンの「桜塚店」(大阪府豊中市)。

 出身の近畿地方では他の2チェーンと拮抗して勢力を保っている。また、青森や和歌山、鳥取、島根、徳島、高知などセブンイレブンの弱い地域で他のチェーンを凌駕している点が目立つ。山陰地方で圧倒的なのは資本提携したポプラが強かったためである。

(セイコーマート)

 北海道だけは3チェーンではなくセイコーマートが首位となっている。北海道のセイコーマートは、埼玉県酒類販売及び茨城県のマミーチェーンとエリアフランチャイズ契約を結び、埼玉と茨城にも進出した。この3地域にしか出店していないにもかかわらず、コンビニ業界6位の店舗数を誇っている。

(地理的分布パターン)

 以下に、関東と近畿の郵便局の分布とコンビニ分布と対照させて示した。ユニバーサル・サービスの郵便局と市場原理による立地のコンビニとの違いがよく分かる(郵便局についての図録6368から再録)。

(2020年8月17日収録、8月18日補訂、2021年8月8日補訂、11月7日郵便局とコンビニの分布の違い)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 地域(国内)
テーマ
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)