地方毎に、明治に創業した企業の数と全体に占める明治創業率を図に示した。 北陸の明治創業の企業数は922社と多くはないが、明治創業率は1.3%と最も高い。 都道府県別の明治創業率については、山形県の2.0%が最高であり、2位は社数で全国4位だった「新潟県」(1.8%)、3位には「島根県」(1.5%)が続いた(東京商工リサーチ「全国「明治創業企業」調査」2017.9.22)。 データを作成した東京商工リサーチの担当者は「伝統を重視する土地柄や堅実な地域性が背景にある」と分析しているという(毎日新聞2017.10.8)。 明治創業率の地域別の差異は、地域性というよりむしろ、明治時代に創業がさかんだったのに対して、それ以降には、創業がさかんではなくなったかどうかを示していると捉えた方が事実に近いだろう。 日本海側から瀬戸内海を通って近畿に至る沿岸海運で栄えた北前船経済圏が江戸時代後半から明治にかけて成立していたのに対し、その後、日本海側と連絡し、また東海道線をはじめ太平洋側にシフトした鉄道経済圏(下図参照)に徐々に商圏を奪われ、戦後には、世界との輸出入に優位性のある太平洋ベルト地帯に経済の中心が取って代わられるという大きな地域変化を想定するとこのデータは理解しやすいのである。 北陸に次いで東北、中国、四国の明治創業率が高い点にそれが見て取れる。 山形県は明治創業率だけでなく老舗企業率でも全国トップ・レベルである(図録7465)。東北といっても北前船経済圏に属する日本海側の明治創業率が東北の比較的高い値にむすびついているといえよう。 (2017年10月10日収録)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|