どの地域で生涯未婚率が高くなっているのか、すなわち一生独身の者が多いかを調べてみよう。このため、都道府県別の生涯未婚率の分布マップを作成した。

 全国における生涯未婚率の長期推移は図録1540参照。もとになったプレジデントオンラインの記事はこちら

 男性と女性では分布パターンがかなり異なっており、生涯未婚率の上昇といっても男女では条件がかなり異なっていることをうかがわせている。

 男性の方の生涯未婚率の分布の特徴は以下である。
  • 大きく見れば、東日本で高く、西日本で低い傾向が認められる。トップは岩手の28.9%、2位は青森の28.4%である。東北の男性は西日本と比べて内向的と言われるが、それが影響しているのであろうか。
  • 西日本の中でも高知や山陰などでは高くなっている。
  • 近畿の中心部(大阪、京都)を取り巻くベッドタウン地域でもっとも低くなっている。
 女性の生涯未婚率の分布の特徴は以下である。
  • 男性とは逆に東日本より西日本の生涯未婚率の方が高い傾向が認められる。最も高いのは高知の20.3%である。
  • ただし、東日本の端に位置する北海道では、開拓時代に男女の区別なく働いた伝統から女性の独立性が強いためか、女性の生涯未婚率が3位と高くなっている(ちなみに女性の喫煙率も北海道が全国トップ)。
  • 男性とは異なり、大都市圏中心部の東京、大阪、京都、福岡などで特に生涯未婚率が高い。大都会の居住環境や就業環境は、女性が一生独身で暮らすのに適しているとも言えよう。
  • 日本列島の中央に位置する中部地方では生涯未婚率が低くなっている。例えば、愛知は3大都市圏の1つであるにもかかわらず、生涯未婚率13.4%と東京の20.1%、大阪の18.5%と比較してかなり低くなっている。やはり、結婚するのが当然という意識が強いせいだろう。
 全国的に生涯未婚率がいまよりずっと低かった2000年の都道府県データを散布図で見ると、男女とも1位が東京、2位が沖縄であり、この2都県が群を抜いていた。この段階では東京や沖縄という特殊な地域の特徴だった高い生涯未婚率が、それから20年経過する中で、それぞれの地域特色を帯びながら日本列島全体に広がったと言えよう。

 2000年から2020年にかけての生涯未婚率ランキングの順位変化を見ると(下図参照)、東北、北陸(福井を除く)、関東(東京、神奈川、群馬を除く)、長野・岐阜といった東日本で男女ともに、あるいは男性のみ順位が上昇しているのが目立っている。また、京都、大阪、島根、広島、高知、鹿児島で女性のみ順位上昇している点が目立っている。


 なお、都道府県の生涯未婚率の変動係数を計算してみると、男は2000年から2020年にかけて、0.180から0.068へ、女は0.294から0.128へとそれぞれ約3分の1となっており、地域によるバラツキも縮小していることが分かる。

(2022年6月6日収録、2023年4月19日対比対象を2005年から2000年に変更、順位変化図)


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