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 日本の島の数は公式には6,852島あることになっていた。ところが、政府が改めて数えてみたところ、約2倍の1万4,125島もあることが分かったので、これを都道府県別にあらわす図録を掲載した。大きな島については図録7230参照。

 従来の数字は1987年に海上保安庁(海保)が公表したものであり公式統計もこれに基づいているが、当の海保によると以下の事情で調べたという(デイリー新潮、2023.3.3)。湖は海保の管轄外だから琵琶湖にある沖島はカウントされていない。

「私たちは、海上航行の安全上、留意しなくてはならない島のことを離島と呼び、当時、2万5千分の1の海図を使って外周100メートル以上の島を手作業で数えました。これに本土5島を加えたのが6852という数字です。しかし、小さな岩礁や船が通らない浅瀬にある島などはカウントされていません」(担当者)。

 あらたにカウントすることになったのは、沖縄県の島の数が県によれば160であるのに政府見解は363と食い違っていることが2021年12月に国会で「数が違っていては離島防衛はもちろん、漁業権の保護にも支障が出かねない」と指摘されたのがきっかけである。

 これを受け、国土地理院は、海図ではなく2022年の「電子国土基本図」をもとに、国連海洋法条約の定める(1)自然にできた陸地、(2)水に囲まれている、(3)満潮でも水面上にある、という基準を満たし、「島の計数方法」については国際的な取り決めがないので、海保が数えた時と同じ外周100メートル以上という基準で島の数をコンピューターで自動計測。また、外周100メートル以上、以下にかかわりなく、沖ノ鳥島のように法令で指定されていれば、島としてカウントしたという。

 島の増加が多い順では、北海道が964、鹿児島が651、岩手が575、長崎が508、和歌山が402の増となっている。

 島の数の都道府県順位は以下のように変わった。長崎の首位はゆるがないが、北海道や岩手など北日本の順位が高まっている。

(1987年)
@長崎、A鹿児島、B北海道、C島根、D沖縄
(2022年)
@長崎、A北海道、B鹿児島、C岩手、D沖縄

 表示選択で実際の事例を江の島について掲げた。これを見ると地図がどのように精緻化されて来ているかが分かり興味深いが、この例で見る限り、離島防衛や漁業権保護とはかかわりない島数の増加が大半だと考えられる。岩手のリアス式海岸で島数が大きく増加したのもうなずける。

 今回の数え直しは日本の領土・領海の面積に影響を与えなかったとして国土地理院は以下のように述べている。

「なお、我が国の国土の面積は、電子国土基本図に基づき全ての陸地を計測しており、今回公表する島の数が面積に影響することはありません。また、島の数については「我が国の領海の外縁を根拠付ける領海基線を有する島(国境離島)」の数(令和5年2月2日付け内閣府総合海洋政策推進事務局公表)との整合性を確保しています。以上のことから、今回の計数結果が、我が国の領土・領海に影響を与えることはありません。」

(2023年3月3日収録)


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