国籍平均の訪日外国人では、渡航費(往復運賃)は8.3万円、国内支出額は13.3万円、合計21.6万円の旅行費となっている。ここでは、往復運賃は渡航費を自前で手配した者のみの平均であり、国内支出額は、パッケージツアー客の往復運賃を除いた推計国内消費額を含んだ平均額なので、厳密には合計できないが、厳密な額を算出しても21.0万円となりほとんど変わらない。 グラフでは、渡航費の少ない国から多い国へと並べているが、国内支出額は、概して渡航費に比例して多くなる傾向がある。せっかく高い渡航費をかけて日本を訪れたのだから、滞在期間を長く取り、旅行先でいろいろ行動しようとする傾向を反映していると考えられる(国籍別の平均泊数は下表参照)。 渡航費が3.9万円と最も安上がりの韓国人は、日本国内での消費額は8.1万円と最も少ない。もっとも図録7200で見たように、韓国から日本を訪れる旅行者は、諸外国の中で最も多いため、日本に落とす消費額の全体では、2010年に1,973億円、17.2%と中国の2,498億円、21.7%に次いで多くなっている(平成22年年次報告書)。 訪日客の多いのは、やはり、渡航費が安い近隣アジア諸国であることが分かる(図録7200)。 アジア近隣国と比較して、日本との距離が長い欧米諸国からの訪日客は、渡航費は高くなるが、フランスを除くと日本国内での消費額は渡航費に比例して多くなってはいない。渡航費が高くなるのでそれ以外の旅行費用は切りつめようとしているのかもしれない。カナダ人にいたっては、渡航費の方が国内消費額を上回っているぐらいである(諸外国の中で唯一)。 従って、黄緑色の矢印のような傾向線を描いてみることができる。この傾向線より上の国は、かなり派手に日本国内で消費しているといえよう。こうした見方から、中国、ロシア、フランスの消費額の多さが目立っている。逆に、消費が控え目なのは、マレーシア、カナダ、ドイツといった国である。 平均泊数を表で見ると、アジアでは中国、欧米では、ロシアや米国の泊数が多い点が目立っている。中国やロシアの国内消費額が多いのはこうした泊数多さにも起因しているだろう。米国は泊数が多いにもかかわらず、消費額は控え目である。フランスの泊数は訪日外国人の平均より少ないにもかかわらず、消費額が多く、短い滞在中に大いに消費している様子が目立っている。1泊当たりの消費額が多いのは、香港、シンガポール、そしてフランスである。 訪日外国人の渡航費・日本国内消費額・平均泊数(2010年) 単位:円、泊
(資料)観光庁「訪日外国人の消費動向 平成22年年次報告書」 (2011年4月19日収録)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|