LRTは車両を低床化、高いデザイン性などの改良を加え、軌道や停留場、運行方法の改良で乗降しやすくし、鉄道線への乗り入れ、自動車とのパーク&ライドなど他の交通機関との連携を高めたシステムをいう。 図録には世界の路面電車の路線延長をグラフにした。 世界48カ国、384都市で路面電車が走っているが、中でも、ドイツの路線延長が3000qもあり最長である。ドイツでは、小回りのきく、路面電車の良さを見捨てず、車両の改良、自動車交通との分離、使いやすい運賃システムの開発によって都市交通としての機能を高め、LRTの基礎をつくったという(東京新聞2011.2.13)。 ドイツの次ぎに路面電車の路線延長の長いのはロシアであり(運行都市数はドイツを上回り最多)、これに米国、ウクライナ、ポーランドなどが続いている。日本は19都市、280qとアジアの中では最も普及しているが、欧米と比較するとオランダ一国より延長距離が短いなど、全盛期1500qから衰退が著しい(日本の路面電車については図録6853参照)。 1978年カナダのエドモントンではじめてLRTが開業して以来、海外では過去に路面電車を廃止した都市を含め、LRTの導入が相次いでいる。「自動車大国・米国では都心部を回遊する短距離のLRT(ストリートカー)の建設計画が相次いでいます。オバマ政権のグリーン・ニューディール政策によって、都市再開発に向けた交通基盤整備のための助成策が設けられました。フランスでは交通権を明記した国内交通基本法などがLRTの発展を支えています。」(上記資料) 路面電車をめぐる国内外の動き
日本では公共事業が極度に抑制され、新時代に対応し、また高齢化社会に適応した交通システムへの転換の後れが心配される(図録5165参照)。 図に掲げた48カ国は、具体的には、ドイツ、フランス、ポーランド、イタリア、ルーマニア、スペイン、トルコ、英国、チェコ、スイス、オランダ、ベルギー、オーストリア、ハンガリー、スウェーデン、ポルトガル、ノルウェー、スロバキア、クロアチア、ブルガリア、フィンランド、セルビア、ギリシャ、アイルランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ロシア、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ、ラトビア、ウズベキスタン、エストニア、エジプト、チュニジア、日本、中国、オーストラリア、北朝鮮、インド、マレーシア、フィリピン、ニュージーランド、米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ベネズエラである。 (2011年3月17日収録)
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