自転車利用率は国ごとにかなりの差があるが(図録6369参照)、同一国内でも都市や地域ごとにも差がある。ここでは、国別でなく都市レベルの自転車利用率の世界ランキングを掲げた。

 世界一の自転車都市はオランダのアムステルダムであり、交通トリップの28.7%は自転車によっている。

 驚くのは、アムステルダムとほとんど変わらない世界第2の都市として大阪市が登場している点である。そして第3位は東京、第4位はミュンヘンである。

 そのあとも日本やドイツの都市が続いており、日本やオランダ、ドイツで自転車による移動が多いことが明らかである。

 自動車王国の米国ではもっとも自転車利用がさかんなフィラデルフィアでもトリップ比率は1.9%と非常に低いレベルである。

 自転車利用のレベルが高い地域は常に、女性の割合が高くなっており、また、同じ研究では、そういう場合、すべての年齢層で女性の割合が高いことがわかっている。

 なお、英国エコノミスト誌は自転車利用についての記事(2025.10.11)で、このデータに関してさらに主要都市に絞り込んだグラフを掲げ、「髪を風にたなびかせて」(Wind in their hair)というしゃれた表題を付している。

 同記事では、為政者による促進政策もあって自転車普及が進んでいる点や「自転車か自動車か」が政治的対立の争点になっている点、また電動自転車が交通事故の増加につながる危険がある点などを取り上げている。

 都市によって自転車普及が大いに進んでいる理由としては以下のような点が指摘される。
  • パンデミックにより、公共交通機関を避けるために自転車の販売が急増
  • バッテリー技術の進歩によりe-バイクが普及し、ペダルアシスト機能で利用者が拡大
  • 自転車専用レーンなどのインフラ整備が、サイクリングの安全性を高め、利用者を拡大。自転車レーンは地下鉄建設よりも安価で交通渋滞の緩和に役立つ。
 自転車レーンは、道路・駐車場のスペースとのゼロサムの戦いを引き起こし、文化戦争の対立軸となっている。

「英国の極右政党「改革党」の党首であるナイジェル・ファラージ氏は、低速制限と自転車レーンを行き過ぎた”anti-car fanaticism”(アンチ自動車狂信)の証拠と見なしている。

 最も自転車に優しい地域が、左派的な政党に投票するような裕福な若者の居住地でもあるという傾向が、ポピュリストを刺激するのに役立っている。米国ではトランプ大統領が大統領就任後、運輸省による化石燃料の使用削減を目的とした自転車専用レーンなどのプロジェクトに対し、連邦政府の資金提供すべてを見直すよう命じた。ヨーロッパや米国では、自動車の所有と使用がますます政治的対立の境界線となっている。ニューヨーク市の最近の民主党予備選挙では、勝者であるゾーラン・マムダニ(車を所有せず、シティバイクで数千回の乗車記録を誇る社会主義者)は、運転する人がほとんどいない選挙区で断然最高の成績を収めた。自動車運転者はアンドリュー・クオモに投票した」。

 なお、自転車のシェア拡大の背景としては、自動車の業務利用が、インターネットとビデオ会議の普及、公的交通機関の利用奨励などで減少し、「セールスマンの死」状態を招いている点も見逃せない(下図参照)。


(2026年1月1日収録)


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