ここでは、この調査の各国別の結果を帯グラフにして掲げた(その他関連設問の結果については図録6258などを参照)。 主要先進国ではいずれも80〜90%の人がそう考えており、フェイクの影響力が強く意識されている。 先進国の中でも、ドイツ、韓国、イスラエルなどでは、むしろ、影響されにくくなっていると自信をもっている人が10%前後存在している点が目立っている。ネット上で正しい情報も得やすくなっていると考えてであろうが、自己過信でなければよいと思う。 2020年10月には人工知能(AI)技術を使った「ディープフェイク」と呼ばれる手法(ディープラーニングとフェイクを組み合わせた用語)で女優のわいせつ動画を作成、公開した男たちが逮捕された。海外では同様の手法が政治デマにも使われ、脅威になっている(東京新聞社説2020.10.7)。 また、音声合成技術の進展でディープフェイク音声によるなりすまし詐欺などの悪用が世界的に問題となっている(下図参照)。交流サイト(SNS)などネット上に公開されている音声を基にフェイクが作られている可能性があるという。 このマカフィー調べによる結果ではインド人の20%が自身が被害にあい、27%は知人が被害にあったことがあるとしている。先進国では米国の被害率がそれぞれ14%、18%ともっとも高くなっているがその他の国も被害率は無視できない程度にまで高くなっており、世界的問題だということが分かる。その中で日本は3%、5%と比較的被害者が少ない。 デジタル行財政改革をうたって政府が進めているマイナンバーカードの普及であるが、誤登録やシステムの不具合による信頼性の喪失が社会問題化している。世界でデジタル化による改革が進展したのはアナログ環境では円滑な取引や行政が難しかったからであるが、日本ではアナログ環境でそうした点がかなりうまく機能していたので、デジタル化を進めるとむしろフェイクの問題など国民にとってマイナス面ばかりがかえって目立つ皮肉な結果となるのである。そうした大きな構図に考えが至らず、得意そうにデジタル化の旗手のような顔をし、デジタル化の不具合が発生しても平然としている河野太郎担当大臣の顔がアホに見えるのは私だけだろうか。 (2023年7月7日収録、8月1日河野太郎マイナンバー発言)
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