2015年の結果では「ほぼ毎日追加・更新している」が8.6%、「たまに追加・更新している」が14.5%となっており、インターネット利用者のうち合わせて23.1%が、個人的にインターネットで情報を発信するに至っている。もう1つの選択肢である「ほとんど追加・更新していない」11.2%も、かつては情報発信した者としてカウントすると、合わせて34.3%、3分の1以上のインターネット利用者がインターネットを利用して個人的な情報発信したことがあるという結果となっている。 2008年以降の推移は、個人の情報発信の比率は上昇傾向にある。これは、ホームページ、ブログからはじまり、ユーチューブなどの動画サイトやフェースブック、ツイッターなどのSNSの普及につれて、インターネットの利用がホームページの閲覧などの情報収集だけでなく、個人的な情報発信にもますます使われるようになってきていることを示している。 同調査により、国民全体に占めるインターネット利用者の比率とそのうちのメール以外の個人的な情報発信の比率(インターネットを利用しない人を含めた国民全体に占める割合に換算した比率)の推移を示すと以下のグラフの通りである。どちらも徐々に上昇してきていることが分かる。これは、ネット社会化が進んでいる代表的な指標であり、いわゆる「炎上」が話題になるのもこうした環境変化による。 同様の値が2001年と2006年の社会生活基本調査でも得られるので同時に掲載した(同調査の都道府県別データは図録7380、図録7387)。インターネット利用率については図録6200(世帯普及率)、図録6210(人口普及率−ここでのインターネット利用率と同じ)を参照。 この他、インターネットを通じたメール以外の情報発信の調査を行った例として総務省統計局「家計消費状況調査」があり、2007年には、個人のホームページの維持・管理を行った者がいる世帯が5.2%になっている(図録6230参照)。
(以下、2008年のクロス集計結果の分析) 男女・年齢、職業、地域の属性別のデータは、属性によっては回答数が少ないので取扱に注意が必要だが(下に属性別回答数の表を掲載)、結果はかなり興味深いものだ。
男女・年齢別には、20歳代の若い層でインターネットによる情報発信の比率が高い。特に若い女性は40.0%と5人に2人にのぼっている。 予想されるように情報機器に馴染みの薄い高年齢ほど発信比率は低下するが、男女とも50歳代より60歳代でインターネットによる個人的な情報発信を多く行っているのが興味深い。退職して時間があるためであろうか。 職業別には、学生が57.1%と過半数を占めるほか、自由業が34.7%と高い比率を占めている。 地域別には、男女・年齢別や職業別ほどの大きな差はなく、全国的にインターネットは個人の情報発信に利用されているといえるが、なお、以下のような特徴が認められる。 都市規模別には、若者、学生の多い東京都区部の発信比率が一番高いが、それ以外の地域では、大都市である政令市より中小都市、中小都市より町村と、むしろ、規模の小さな地域の方が発信比率が高くなっている。規模の小さな地域の方が高齢者が多いことを考え合わせると、地方ほどインターネットによる個人的な情報発信がさかんであると言ってもよい。インターネット利用率自体は、これとは対照的に、単純に大都市で高く町村で低くなっている点については、図録6220参照。 地域ブロックでみても、北海道が最も高い比率を示し、これに北関東、南九州が続いており、南関東、東海、近畿など大都市圏を抱える地域よりインターネットによる情報発信の比率が高い点は注目に値するであろう。 理由としては、人口密度が低く、娯楽や表現の機会が相対的に少ない地方ほど、むしろ、インターネットを通した個人の表現の有用性が高いためとも考えられる。 インターネット普及の歴史は浅いが、情報伝達手段や広報媒体としてだけでなく、自己表現手段としても国民に広く定着したことが、こうした結果からうかがえる。
(2008年8月21日収録、2015年1月18日更新、1月31日社会生活基本調査のデータを追加、8月24日更新、2016年8月30日更新)
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