R&D(研究開発)は経済の成長を促進する重要な要素として、各国とも、公的機関で直接的に研究開発を進めるとともに、企業のR&D(研究開発)に対して、公的資金を投入したり、税制優遇を行ったりしている。ここでは、後者について、OECDの報告書から各国がR&Dに対して税制面でどれだけ優遇しているかの国際比較のグラフを掲げた。公的資金による支援の国際比較については図録6045参照。

 企業のR&D(研究開発)に対する税制優遇度は、日本は大企業で12%、中小企業で16%と中位の水準にある。先進国の中ではフランスの優遇率が高く、また中国、インドといった新興国でも税制優遇の割合は高い。

 以下にOECD報告書のコメント記す。

R&Dに税制優遇措置を与える国が増え、租税競争問題が生じている
(OECD科学・技術・産業アウトルック2008年版 日本語要約より)

近年、企業R&Dへの直接的な公的助成から間接的な助成へのシフトが見られる(図参照)。直接的な政府助成が企業R&Dに占める比率は1995年の11%から2005年には平均7%へと低下した。企業R&Dに対して税の減免を行っているOECD加盟国は1995年の12カ国から2008年には21カ国へと増えており、大半の国が税の減免を年々手厚くする傾向にある。 R&D税額控除の活用が増えているのは、一つには各国がR&D関連の外国直接投資に対する自国の魅力を高めようと努めているためである。
(資料)OECD Science, Technology and Industry: Outlook 2008

 ここで国際比較の対象になっているのは38カ国、具体的には、補助率の低い順にドイツ、ロシア、イタリア、スウェーデン、ルクセンブルク、イスラエル、アイスランド、ギリシャ、スイス、フィンランド、スロバキア、チリ、ポーランド、アイルランド、米国、オランダ、オーストリア、ベルギー、英国、オーストラリア、日本、トルコ、デンマーク、ハンガリー、南アフリカ、ニュージーランド、カナダ、韓国、ノルウェー、シンガポール、ブラジル、インド、チェコ、ポルトガル、中国、フランス、メキシコ、スペインである。

(2008年11月10日更新、2011年10月11日コメント修文)


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