結論からいうと、技術貿易による客観データでは、欧米に対する技術依存度は明らかに低下しているのに対して、企業の意識による欧米の技術優位性は一貫して上昇傾向にある。 1990年代前半に技術力米国優位とこたえた製造業企業は3割前後であったのが、最近は、4割近くに達している。この間、技術貿易は北米に対して入超から出超に転換しているにもかかわらずである。 業種別に見ると、米国優位とする回答率がエレクトロニクス産業で高く、自動車、鉄鋼では相対的に低いという結果となっており、この点については、技術貿易の依存度の高低とパラレルであり納得できる。ところが、推移については、技術貿易依存度の低まらないエレクトロニクスだけでなく、依存度が低まり逆依存となっている自動車や鉄鋼においても米国優位とする企業の割合は上昇している。 こうした食い違いが生じている要因としては2つが考えられる。 第1に、1980年代の日本企業の好調と世界からの日本型経営システムに対する高い評価で自信過剰になっていた日本企業が、1990年代の長期不況と競争力低下の中で、真実に近い意識を持つに至ったと理解する仕方が可能である。 第2に、自動車や鉄鋼といったエレクトロニクス以外の製造業においても、コア技術としてのエレクトロニクス技術やソフト技術における米国の開発力が将来の優位性を左右すると感じていて、脅威に感じる度合いが高まっていると理解することが可能である。 米国ほどの開発力を有しない欧州に関しても、レベルは低いものの米国と同様の推移を辿っているところをみると1番目の理解が正しいのかも知れない。 (2008年4月2日更新)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|