世界の生産量は1990年の11.5億トンから2011年の36.1億トンへと3倍増となり、2013年にはついに40億トンに達したが、多くは中国(そしてインド)の増産によるものである。世界に占める中国の生産シェアは1990年の18.4%から2009年には54.3%とついに半数を占めるまでに急伸した。そして2013〜14年にはついに中国比率はピークの59.3%に達した。 中国では、鉄鋼が不足し、鉄製のマンホールも盗難が相次ぐと言われているが、日本なら鉄で作る橋りょうなども、巨大なセメント製で作られていたということも聞く。 しかし、さすがの中国も、近年、成長が鈍化し、セメント生産量も2015年にははじめてマイナスとなった。世界の生産量も中国のこの生産減に影響されて、やはり、2015年にははじめて減少となっている。 またセメント産業はエネルギー多消費型の産業であり、エネルギー事情の改善のため、中国自身、零細工場の整理や省エネ技術の導入など、セメント産業のエネルギー効率を高めることを大きな課題としている。この点、日本の極めて高い省エネ技術の果たす役割は大きい(日本のセメント産業のエネルギー効率の高さについては図録4080参照)。 先進国の中では、日本はセメント生産の規模の大きな国であったが、景気低迷や公共事業の抑制により、1996年の1億トンをピークに低下を続け、近年では半分強の5千万トン台となっている(公共事業の動向は他国を含め図録5165参照)。リーマンショック後、低迷していたが、2013年(会計年度)には6千万トン台に回復した。その後は横ばいあるいは微減傾向である。 中国、日本以外の国では、インドの躍進が目立つ。米国は景気回復に伴って生産量を順調に伸ばしていたがリーマンショック後の景気低迷下で退潮が著しかったが最近は持ち直している。韓国は、97年のアジア通貨危機で生産量が落ち込んだがその後回復に向かい、ほぼ横ばいか増で推移している。 欧州では、イタリア、フランス、ドイツなどが横ばい傾向にあるにの対してスペインの増加傾向が目立っていたが欧州債務危機以降は大きく落ち込んだ。ロシアは、ソ連崩壊後急激に生産量を減らしたが、近年はエネルギー主導経済の好調によりかなり回復し、日本や韓国を上回る状況になっている。 (2006年4月3日収録、2008年1月4日更新、2010年7月20日更新、2014年6月17日更新、2017年1月11日更新)
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