日本の精密機械分野で、得意技術を生かす可能性が高い先端分野であるにもかかわらず、需要の変化に対応できず、海外製品に遅れをとっている例を2つ掲げる。

 1つは、生命科学、バイオ分野の計測・分析機器であり、もう1つは、医療機器である。

 前者については、毎日新聞(理系白書2006.11.1)が指摘するように「日本の科学技術戦略の先見性のなさは、世界的に競争が激しい先端研究分野や、生命科学研究で顕著だ。文部科学省が04年、国内のバイオ研究で使われる分析装置の実態を調べたデータがある。どこの研究室でも購入するDNA増幅装置の86%、シーケンサーの89%が外国製だった。「研究費の6〜7割は機器や試薬の購入代として海外に流れている」という研究者もいる。」

 後者の医療機器については、検査機器の分野では国産品が高いシェアを占めているものの、近年需要の伸びが著しい治療機器では、需要サイドの臨床医学・医師・医療機関との連携不足が大きな要因となって、米国に遅れをとり、完全に輸入超過となっている点について、すでに図録5400でふれた。図に見るとおり、内視鏡、CT、X線装置については、7〜8割以上の国産比率であるが、カテーテル類、人工関節・骨類、ペースメーカー、人工心臓弁などでは、国産比率が3割、あるいはゼロとなっている。

(2006年12月14日収録)


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