2011年の公共事業費(一般政府総固定資本形成)の対GDP比は3.1%であったが、これは、OECD34カ国中14位とやや高いがほぼ中位の規模である。 OECD諸国の中で公共事業費の割合が最も高いのはポーランドの5.7%であり、韓国が4.8%、カナダ、エストニアが4.1%でこれに次いでいた。 逆に最も低い国はオーストリアの1.0%、これに次いでドイツの1.7%である。旧ドイツ領に広がる高速道路網であるアウトバーンが、しばしばヒトラーの「唯一の功績」として、失業対策の効果があった先見性の高い公共事業として称賛されることもあるが、ドイツ、オーストリア、ベルギーなどは既存の公共施設の整備水準が高く、新規の公共事業をそれほど必要としないためこの値が低くなっている側面もあろう(道路や鉄道の整備水準を比較した図録6389参照)。 全体を見渡しても公共事業費の割合の高い国は、概して、新興国あるいは途上国に近い国が多く、ドイツ、フランス、英国、イタリアといった西欧主要先進国は相対的にこの割合が低い傾向が見て取れる。やはり、過去の蓄積が影響していると考えられる。 旧英国植民地は、カナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランドの公共事業費の割合はいずれも日本より高く、国土が広い新大陸的な性格をなお残していると考えられる(13年12月更新までは米国の水準は22位と低く「米国は例外」とせざるを得なかったがデータが補正され、正しい評価ができるようになった)。 中央政府と地方政府の割合については、国の規模や連邦制を採っているかなどの事情で左右されるのであくまで参考程度に見ておく必要がある。また公共事業の発注が中央と地方のどちらかで区分されているのであり、予算配分権限がどちらにあるということを必ずしも示してはいない。こうした点を前提とした上で、中央政府の比率について上位5位と下位5位を抜き出すと以下の通りである。
中央政府の比率が低く、地方政府の比率が高い地方分権的な国としては、カナダ、ベルギー、フランス、ドイツ、スイスなどが目立っている。日本は25%とスイスに次ぐ低さとなっており、地方政府が公共事業の中心となっている国の一つとはいえよう。その上で、近年地方の公共事業が削減された一方で中央分が維持された点については図録5166参照。
ここで取り上げたOECD34カ国は、具体的には、比率の大きい順にポーランド、韓国、カナダ、エストニア、米国、ルクセンブルク、チェコ、スロベニア、オーストラリア、スウェーデン、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、日本、フランス、ハンガリー、スペイン、メキシコ、ポルトガル、フィンランド、トルコ、アイルランド、スイス、スロバキア、英国、デンマーク、チリ、イタリア、アイスランド、イスラエル、ベルギー、ギリシャ、ドイツ、オーストリアである。 (2013年5月8日収録、12月27日同じ年次だがデータ更新)
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