南米チリ出身の経済学者パルマの研究から生まれたこの比率の算出法とその意義についてはコラムを参照。パルマ比率は、所得分布の片寄りを科学的に示す精度をジニ係数とほぼ同様に保ちながら、ジニ係数より、説明の容易さ、分布状況の変化への反応性、地域ごとの違いの反映度において優位性が高い、有用な指標とされている。 世界のパルマ比率は2005年に1.8(倍)であり、アフリカ南部、ラテンアメリカが、それぞれ、5.2、4.0と非常に高い一方、北欧は1.0と低くなっている。中国は1990年の1.25から2005年の2.15へと72%も上昇し、同じく大きく1.59から2.1へと上昇した米国を上回るに至っている。 日本は表示されている国別の中で最も低く、地域グループの中で最低の北欧諸国をも下回っている。パルマ比率によれば、日本の所得格差は、世界で最も小さい部類に属するといってよい。 日本の有識者やマスコミは、犯罪、疾病、貧困などの社会問題については、低減、撲滅へ向けた道徳的判断に適合的なデータに注目すればよいと考えているので、おそらく、このパルマ比率はほとんど注目されないであろう。
グラフで取り上げている地域・国は、図の順番に、アフリカ南部、ラテンアメリカ、OECD諸国、EU諸国、北欧諸国、ブラジル、南アフリカ、中国、米国、ロシア、インド、英国、日本である。 (2018年1月1日収録)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|