2014年9月27日午前11時53分ごろ、長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が噴火した。死者57人と戦後最悪の火山災害となった。

 図には日本の主な火山災害を掲げた。これを見ると、死者数規模はまちまちであり、発生地域も、北海道から九州まで全国にわたっていることが分かる。また、発生年も、ある時期は、立て続けに災害が発生する場合もあるし、ある時期には、長い間、災害が発生しない場合もある。

 災害の要因を見ても(下表参照)、火山災害といっても、このたびの御嶽山災害のような噴石によるものばかりでなく、溶岩流によるもの、火砕流によるもの、山体崩壊による津波によるものなど、さまざまである。

 こうしたことから、結果を予測して、火山災害に備えるのは非常に困難を伴うといわざるを得ない。

 また、噴火予知も難しい。2018年1月23日に噴火し死者1名を出した草津白根山の本白根山は、前回の噴火が約3千年前だったことから、草津白根山の中でも警戒がされていなかった。常時観測火山(下図参照)以外でも噴火することがあり、常時観測火山でも本白根山のように監視が疎のエリアもあるので、すべてで噴火を予知することは難しいのである。

日本の主な火山被害
発生年 火山名 所在 死者(人) 被害の要因
1721 浅間山 群馬・長野 15 噴火で噴石が飛散
1741 渡島大島 北海道渡島 1,467 山体崩壊で津波。対岸の北海道と青森で被害
1783 浅間山 群馬・長野 1,151 火砕流と土石なだれ、土砂ダムによる洪水が発生
1785 青ケ島 東京伊豆諸島 130〜140 マグマ噴火。島民327人のうち一部は八丈島に避難
1792 雲仙岳 長崎 約15,000 山体崩壊で津波。対岸の熊本県に押し寄せた
1822 有珠山 北海道胆振 103 火砕流が発生
1888 磐梯山 福島 461 山体崩壊で村落が埋没
1900 安達太良山 福島 72 火口の硫黄採掘所が全壊
1902 伊豆鳥島 東京伊豆諸島 125 島や周辺海域で複数の水蒸気爆発。島民全員が死亡
1914 桜島 鹿児島 58〜59 噴火と地震。「大正大噴火」
1926 十勝岳 北海道上川・十勝 144 熱で雪が溶けて泥流発生。「大正泥流」
1940 三宅島 東京伊豆諸島 11 火山弾と溶岩流
1952 ベネヨース列岩 東京伊豆諸島 31 海底噴火で観測船の全員が死亡
1958 阿蘇山 熊本 12 噴火で噴石が飛散
1991 雲仙岳 長崎 43 火砕流が発生「平成3年雲仙岳噴火」
2014 御嶽山 岐阜・長野 57 山頂付近で水蒸気爆発、噴石が飛散
(資料)東京新聞2014年11月12日


(2014年11月27日収録、2018年1月27日常時観測火山図)


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