猛暑日の世界分布については図録4353でふれたが、ここでは、暑さの世界的増大について、最高気温で定義される猛暑日の増加日数ではなく、強い暑さストレスを感じる日がどれだけ増えているかについて、国別とともに各国の国内地域別(地域レベル2、TL2)のデータを掲げた。

 「強い暑さストレス」は複数の変数から計算されるUTCI(注)という暑さ指標の1段階である。暑さの増大はデータのある2時点間の年増加日数であらわされている。

(注)Universal Thermal Climate Indexの略。国際生気象学会により提唱されている温熱指標(熱的快適性指標)のひとつ。UTCI-Fiala MN モデルによる熱収支計算に基づき、気温、放射、風速、湿度の影響を統合して表す。UTCI はすべての気象要素が人体に影響した結果生じる体感温度と考えるこ とができる。9〜26がNo thermal stress、26〜32がModerate heat stress、32〜38がStrong heat stress、38〜46がVery strong heat stress、46〜がExtreme heat stressとされる。

 対象はOECD諸国であるが、この指標で国平均が最も暑くなったのはイスラエルの年28日増である。これにコスタリカ、メキシコ、イタリア、米国、ハンガリーといった諸国が続いている。韓国と日本は、それぞれ、7.9日増、7.0日増と暑さ増大は中位である。

 他方、暑さの増大が小さいのは、北欧諸国である。やはり、南国で大きく、北国で小さいという一般傾向が認められる。

 国内地域的には、かなりばらつきの大きな国も多い。例えば、メキシコの暑さ増大は19.0日増であるが、ハリスコでは39.3日増であるのに対してプエブラでは0.7日減とむしろ減少となっている。米国でもニューメキシコ州では21.1日増であるのに対して、アラスカ州では0.2日増にすぎない。

 国平均の増大幅が小さい国では、国内の地域別の増大幅の落差も小さくなる傾向が認められる。日本の場合は、図中の表で各地域の値を示したが、最も暑さが増大したのは、北関東・甲信の8.9日増であるのに対して、増大幅がもっとも小さかったのは四国の1.9日増である。

(2024年8月21日収録)


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