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 どんな地域が暑いのかを知るため、猛暑日の世界分布を見てみよう。国内の分布は図録4352に掲げたので参照されたい。

 OECDの報告書に掲載されているデータから、猛暑日を経験した各国の人口の割合をマップ化した。データの得られない国も多いが大勢を理解することは可能である。2000〜04年平均と2017〜21年平均の2時点のマップを掲げたが、記述は基本的に後者のものである。

 結論から言うと、日本国内と同じように、北国と南国という立地よりも、大陸国か海洋国かの違いで人口の猛暑に多くさらされるかどうかが決まって来ることが分かる。陸地より海洋の方が一日の気温差が小さい。このため海に近い地域ほど一日の気温変動が小さくなり、昼の猛暑にも襲われにくくなっているのである。

 最近、テレビでも、釧路に代わって、夏でも涼しいところとして勝浦や銚子が取り上げられるようになったが、同じことが世界でも言えるのである。

 具体例を見て行こう。

 インド、中国、米国、ブラジル、オーストラリアといった大陸国では人口の60%以上が猛暑日を経験している。

 東アジアでは、猛暑日経験人口割合が、「大陸国」の中国では78%、「半島国」の韓国では60%、「島国」の日本では53%とほぼ同じ緯度帯であるにも関わらずかなりの違いが生じている。

 インドネシアは熱帯に位置するにもかかわらず同値が25%に過ぎない。これはインドネシアが海に囲まれている島しょ国だからだと考えることができる。インドの値が95%と高いのは熱帯に位置しているからというより、むしろ大陸国だからと理解した方がよさそうである。

 オセアニアのオーストラリアとニュージーランドは、それぞれ76%、0%と対照的である。これも緯度の違いというより大陸国か島国かという違いにもとづくと言わざるを得ない。

 米国よりメキシコ、メキシコよりコスタリカの方が赤道に近いにも関わらず、猛暑日経験人口割合が少ないのも同じ理屈であろう。

 ヨーロッパでは英国が7%、スペインが64%と大きな違いがあるのも緯度の違いより海洋性の違いが影響していると見られよう。

 国際移住で暑さを避けるときは、北国か海洋国に移住するのがよいということとなる。ただし、日本国内でも同じであるが、沿海地域の場合は、津波被害のリスクも高まるので、選択は難しい。

 近年の変化については2000〜04年のマップからも60%以上の赤の国が増えていることから世界の気候が暑くなっていることがうかがわれる。

 表示選択でマップの元となったデータを点グラフで示した。こちらでは、各国の時系列変化がより明確である。

 データのある各国について、猛暑日経験人口割合の2000〜04年平均と2017〜21年平均を比較すると、ハンガリーやクロアチアといった東欧諸国が例外となっているが、ほとんどの国で、最近の方が猛暑日経験割合が増加しており、世界全体で温暖化の傾向が認められよう。特に、韓国、フランス、ベルギー、オランダといった諸国で猛暑日経験割合が大きく上昇している点が目立っている。

(2024年8月14日収録)


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