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そこで、日本と世界の猛暑日の分布マップを作成し、少しでも涼しい地域へと逃れるための参考としたい。世界の分布マップは図録4353に示したので、ここでは国内の分布マップを掲げる。 それでは、日本国内の地域分布ではどのような状況にあるかどうかを確かめてみよう。 各都道府県の県庁所在市の年間猛暑日日数の分布マップを作成した(一部では県庁所在市以外)。データは平年値、すなわち1991年〜2020年の平均である。 南北の緯度差がけっこう大きい日本列島では、当然、北の北海道・東北の方が九州よりも猛暑日日数が少ないという傾向が認められる。 ところが、一番、南に位置する沖縄では猛暑日日数が0.2日と北海道に次いで少なくなっている。これは沖縄がきわめて海洋性の高い地域であるからと考えるより他はない。陸地より海洋の方が一日の気温差が小さい。このため、海に近い地域ほど一日の気温変動が小さくなり、猛暑にも襲われにくくなっているのである。 関東・甲信越地方では、埼玉や山梨が猛暑日15日以上であるのに対して、日本海側の新潟だけでなく、太平洋側の茨城、千葉、東京、神奈川、静岡という海沿いの地域では猛暑日5日未満となっている。内陸部と沿岸部との対比がきわめて明確なのである。 全国で最も猛暑日が多いのは京都の19.4日である。京都盆地における夏のうだるような暑さは以前より有名であり、それがデータでも裏づけられている格好だ。 九州でも、ど真ん中の熊本だけが猛暑日15日以上である。西日本の中でも徳島、高知、長崎、そして沖縄という海洋性の高い地域で猛暑日5日未満となっている。 暑さを避けるため、北国への移住が検討されることが多いが、こうしたデータをみると、むしろ近場の海沿いの地域に移住する方が手っ取り早いことが明らかであろう。実際、最近テレビでは勝浦や銚子の夏の涼しさが取り上げられている。ただし、海沿い地域は一日の寒暖差が小さい分、夜になってもあまり涼しくならないというマイナス面もあることは申し添えておこう。 なお、ここでデータを掲げていないが、すべての都道府県で猛暑日平均日数平年値は改訂前の1981〜2010年平均と比べて増加しており(北海道のみ0.1日で同じだが)、温暖化の影響は全国的であることが分かる。 (2024年8月17日収録)
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