OECDの報告書から廃プラスチック(プラスチック廃棄物)の処理方法別のシェアを、OECD(先進国)とそれ以外に分けて、主要国・地域別に示した。廃プラスチックの1人当たり排出量の国際比較については図録4207参照。

 廃プラスチックの処理方法は世界計では埋め立てが46%で最も多く、焼却が17%となっている。リサイクル処理は15%と放置(違法投棄)を含む不適切処理の22%を下回っている。不適切処理の場合、住宅地周辺の生活環境上の問題のほか、河川を通じるなどして海洋に流出し、大きなプラゴミとともにマイクロプラスチック(注)として海洋汚染、生態系破壊、健康被害にむすびつくので削減が全地球的な課題となっている。

(注)マイクロプラスチックは道路輸送にともなってタイヤやブレーキから排出され空気中に浮遊するものが多く、ページ末に掲げた世界マップのように世界の都市化した地域から多くの部分が産生されている。

 こうした状況を踏まえ、2023年4月に札幌市で開催された先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境相会合で、G20目標を10年前倒しし、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2040年までにゼロにする目標で合意した。G7各国とも、プラごみを処理するリサイクル施設の整備が進んでいるのでそれが可能となったという(時事通信2023.4.15)。

 OECD(先進国)では、不適切処理が6%であるのに対して、非OECDでは37%と大きなシェアを占めている。

 廃プラが量的に多い北アメリカ(米国・カナダ)では国土が広大であるためもあって埋め立てが7割前後と多のに対して、アジア(日本と韓国)では埋め立て処理は少なく、むしろ焼却が6割以上と半数以上を占めているという特徴がある。焼却処理の比率はアジア(日本と韓国)に次いでOECDに属するEU諸国の38%である。

 リサイクル率が高いのはOECD(先進国)かというとそうでもない。OECDでは16%と非OECDの15%とほぼ同等である。中国、インドのリサイクル率は20%とむしろOECD平均を上回っている。途上国ではプラスチックも貴重な資源であり、再利用やリサイクルに回すための人的な資源も豊富だからであろう。

 そうしたこともあって、2017年までは、日本の廃プラスチックの主な輸出先は中国であり、年間輸出量の半分を輸出していた。中国が2017年末から主に生活由来の廃プラスチックの輸入を禁止すると、日本の廃プラスチックは東南アジアや台湾へ輸出されるようになったが、これらの国・地域も次々に輸入規制を導入した。このため、日本国内で処理される廃プラスチック量が増加しているという(関連記事)。

 リサイクル率が最も高いのは。OECDに属するEU諸国の25%であり、アジア(日韓)が21%でこれに次いでいる。


(2023年5月14日収録、5月15日G7気候・エネルギー・環境相会合)


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