輸送と発電という2つの側面で、地球温暖化や大気汚染を防止するための化石エネルギーからクリーン・エネルギーへに転換、すなわち脱炭素社会の実現には、特定の重要鉱物の存在が重要になっている点を示すデータをOECD資料から図録4090で掲げた。

 ここではそうした特定の重要鉱物が従来の石油や天然ガスと比較しても、主要先進国以外の中国や特定の途上国に偏在している点を示すデータを同じOECD資料から示した。

 掲げたのは銅、ニッケル、グラファイト、コバルト、レアアース、リチウムといった重要鉱物である。

 一見して明らかなとおり、化石燃料が中東、ロシアで生産される割合が高いのに対して、重要鉱物の場合は、中東以外の中国、チリ、ペルー、インドネシア、フィリピン、ミャンマー、そしてロシア、オーストラリアなどで生産される割合が高く、しかも、鉱物の種類によって特定国には大きな違いがあり、そのシェアも化石燃料よりも高くなっている。

 つまり、世界中に広がる特定国の政情の変化などで重要鉱物の調達には異変が生じる可能性も高く、脱炭素社会の実現が頓挫する可能性は大きくなっているといえよう。

 このため図録4090でも指摘した特定鉱物の安定調達へ向けた先進国共同の取り組みが重要となっていると言えよう。

(2023年5月6日収録)


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