輸送と発電という2つの側面で、地球温暖化や大気汚染を防止するための化石エネルギーからクリーン・エネルギーへに転換、すなわち脱炭素社会の実現には、特定の重要鉱物の存在が重要になっている点を示すデータをOECD資料から掲げた。

 輸送においてはガソリンや軽油を使ったエンジンを使用する在来型自動車からモーターを駆動源とする電気自動車(EV)への転換が課題となっているが、在来型自動車と比較して蓄電池を搭載する電気自動車は、銅やマンガンをより多く使用するだけでなく、ニッケルやコバルト、リチウム、グラファイトなどの鉱物を必要とする。

 発電においては、天然ガスや石炭といった化石燃料を使う発電よりも原子力発電の方が発電量(メガワット)当たりで銅、ニッケル、クロムなどを多く必要とするが、さらに、太陽光発電では、銅に加え新たにシリコンを多く必要とし、陸上風力や洋上風力の発電では、銅に加えて亜鉛やマンガン、レアアースを多く必要とする。

 レアメタルを含むこうした重要鉱物は、風力発電設備や蓄電池など脱炭素社会の実現に欠かせない設備に使われ、今後も需要の拡大が見込まれている。ただ、採掘、製錬、加工の工程は中国など特定の国に依存している状況であり(図録4092参照)、安定供給のためには、地政学的な国際関係面での配慮とともに、発展途上国で廃棄される電子部品を含めたいわゆる「都市鉱山」の有効利用などを通じたリサイクル強化を先進国が共同で取り組む必要性がある。

 2023年4月に札幌市で開かれた先進7か国(G7)開く気候・エネルギー・環境相会合では以下のような重要鉱物の安定供給に向けた「行動計画」が採択された。


(2023年5月2日収録)


[ 本図録と関連するコンテンツ ]



関連図録リスト
分野 エネルギー
テーマ  
情報提供 図書案内
アマゾン検索

 

(ここからの購入による紹介料がサイト支援につながります。是非ご協力下さい)