NHKの放送文化研究所では2007年に全国300地点、16歳以上の国民3,600人を対象に今の日本人が好きだと感じているものの調査を行っている(有効回答率66.5%)。

 ここでは、日本人が好きな日本の歴史上の時代をかかげ、また前回1983年調査の結果と比較した。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」(2008年)である。

 好きな時代トップは「昭和(戦後)」期である。1983年もトップであったが、当時は今よりずっと回答率が高かった。1983年には39%の日本人が「昭和(戦後)」を好きだったのに、2007年には同じ値が27%まで下がったのである。

 経済が大きく成長し、貧困から脱却し、生活が大きく変わり、世界の中の地位も格段に上昇した戦後昭和期に対する日本人の思いは深いが、それでもその思いの深さは時代の変遷と世代交代とともに薄れていくのだ。

 もう1つの大きな変化は江戸が第3位から第2位へ、回答率も16%から24%へと上昇したことである。江戸時代ブームともいうべき状況である。現代の日本では経済の低成長と人口減少の時代が訪れているが、これを踏まえ、同じく人口が横這いの中でオリジナリティあふれる文化が成熟したとみられる江戸時代の経済社会文化が見直されているといってよいだろう。

 男女年齢別に見ると、江戸時代は、いずれの層でも1〜2位とまんべんなく人気がある。

 昭和戦後期は、若年層(16〜29歳)より中年層(30〜59歳)、中年層より高年層(60歳以上)で人気がある傾向があらわれている。やはり、昭和戦前期を生きた年代で「いい時代だった」という感慨が強いのであろう。

 戦国時代と平安時代は男女の差が大きい点が特徴である。

 戦国時代は男性では若年層で1位、中年層で2位、高年層で3位の人気を誇っているが、女性ではそれぞれ4位、9位、10位未満とずっとランクが低くなる。

 逆に、平安時代は男性では5〜6位であるのに女性では若年層で1位、中年層で2位、高年層で4位と人気が高いのである。

 男性は武士が活躍した時代、女性は貴族が力をもっていた時代が好きということなのだろう。最近は「歴女」と呼ばれる歴史好きの女性があらわれ、戦国時代のヒーローにも関心を高めているので、現在この調査を行えば、少し違った結果になっているかもしれない。

時代名を列挙しておくと、人気の順に、昭和(戦後)時代、江戸時代、平安時代、戦国時代、明治時代、安土・桃山時代、鎌倉時代、飛鳥時代(前調査大和時代)、昭和(戦前)時代、奈良時代、大正時代、室町時代、縄文時代、弥生時代、古墳時代、旧石器時代、南北朝時代である。

(2008年1月22日収録、2018年12月4日男女年齢別)


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