ここでは、日本人の好きな「見るスポーツ」についてランキングをかかげた。また関連して好きなスポーツ選手の自由回答結果のグラフを付した。資料はNHK放送文化研究所世論調査部「日本人の好きなもの」(2008年)である。 好きな「見るスポーツ」・ベスト20はランクの高い順位に、プロ野球、高校野球、フィギュアスケート、マラソン、駅伝、サッカー、バレーボール、相撲、ゴルフ、シンクロナイズドスイミング、ボクシング、スキー・ジャンプ、柔道、体操競技、総合格闘技、テニス、陸上競技、競泳、自動車レース、新体操である。 前回1983年調査からの変化では、フィギュアスケートと駅伝とサッカーが支持率を上昇させ、順位もランクアップしているのが目立っている。 野球はプロ野球も高校野球も支持率は多少低下したが、なお、1位〜2位を保っている。 フィギュアの躍進は2006年トリノ冬季五輪で荒川静香が金メダルを獲得しその後も日本人選手が世界トップを争っている状況が大きく貢献していると考えられる(図録3989参照)。 サッカーの躍進は1993年にJリーグ発足し、日本も1998年、フランス大会以降、ワールドカップ本大会に出場しているためである。 逆に順位を落としている点で目立っているのは、バレーボール(3位→7位)、相撲(4位→8位)、体操競技(6位→14位)である。 男女・年齢別の特徴としては以下のような点をあげることができる。 ・同じ年齢で男女を比較すると、男性の方が全体に回答率が高く、概して女性よりスポーツ好きであることがうかがわれる。 ・特に男性の高年層は、女性に比して、あるいは中年層以下に比して、野球、マラソン、相撲、駅伝といったスポーツが大好きであるのが目立っている。高度成長期からの習慣でこうしたスポーツのテレビ観戦に熱を入れている親父さんたちの姿は日本の風物詩ともいうべきものとなっている。 ・男性の若年層ではサッカーが1位となっており、世代の差を感じさせる。高年層では顔を出さない総合格闘技も若年層では上位となっている。 ・女性の若年層、中年層ではフィギュアスケートがトップとなっており、シンクロナイズドスイミングや新体操がベストテンに入っていることとならんで、きれいかどうかがスポーツ観戦においても重要な評価基準となっている。 なお、関心のあるスポーツの国際比較については図録3989a参照。 好きなスポーツ選手の自由回答結果については、メジャーリーグで活躍する「イチロー」「松井秀喜」の2人が二桁の支持率を得ている。ベスト10のうち野球選手が5人も入っており、日本における根強い野球人気が表れている。 ベスト10の顔ぶれをみると浅田真央選手を含め海外で活躍する選手が多い。1983年の前回の調査結果では原辰徳、江川卓など読売ジャイアンツの選手がベスト10に5人も入っていた。1983年がジャイアンツがセ・リーグで優勝した年であるためとも考えられるが、「ジャイアンツ中心」から「世界での活躍」へと人々の好み、関心がシフトしていることも1983年と2007年の顔ぶれの変化からうかがわれる。また前回ベスト10の全員が男性であったのに対して今回は4人が女性である点も時代の変化をうかがわせる。 この自由回答結果の選手名を上位から掲げておくと、2007年は、イチロー、松井秀喜、浅田真央、宮里藍、松坂大輔、長嶋茂雄、王貞治、福原愛、中村俊輔、荒川静香、1983年は原辰徳、江川卓、青木功、王貞治、千代の富士、中畑清、瀬古利彦、アントニオ猪木、掛布雅之、長嶋茂雄である。 (2008年8月11日収録)
[ 本図録と関連するコンテンツ ] |
|