NHK放送文化研究所が「全国個人視聴率調査」とは別に毎年6月頃行っている「番組総合調査」の結果から、毎週(あるいは毎日)放送されている夜のテレビ番組について、視聴経験率と視聴者満足率(元の資料では単に満足率と表記)のベストテンを見てみよう。過去3年度の結果を図録にした。 毎年の特徴と2010年度の特徴をデータの出所である同研究所「放送研究と調査」2011年2月号などを参考にしながら以下に整理した。 毎年の特徴 ・NHK7時のニュースは視聴経験率で不動の1位。 ・視聴経験率の高い番組が必ずしも満足度の高い番組ではない。視聴率と満足率の両方のベスト10に登場しているのは2010年度では「ためしてガッテン」だけである。 ・視聴経験率に比べて、ドラマやドキュメンタリー系で満足度が高くなりがちであり、バラエティー系の番組は上位となりにくい。 ・ニュース番組以外では視聴経験率ベスト10には民放番組がほとんどであるが、満足率ベスト10では、NHK総合の番組が7割を占めている。 ・NHK大河ドラマが、2008年度の篤姫、09年度の天地人、10年度の龍馬伝と満足度1〜4位で安定。 2010年度の特徴 ・「報道ステーション」の視聴経験率が2009年度まで2年連続で50%を越えていたのが、2010年度には50%を下回った。 ・満足度で「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」が1位となり、「アメトーーク!」も9位に食い込むなど、「情報バラエティ番組」ともいえるジャンルが躍進の傾向にある。 テレビ番組については、いわゆる視聴率が最大関心事となっているが、視聴率が「その日のその番組を見たか」という1日ごとに結果が出るデータであるのに対して、ここでの視聴経験率は数ヶ月の幅で「見たことがあるか」を調べている。また、視聴率ではその番組がどれだけ面白かったか、番組を見て満足したかが分からない。視聴者満足率はこの点の欠陥を補うデータと考えられる。 本当は、視聴率ではない人気テレビ番組ベストテンというこの図録の主旨からいえば、番組の視聴者でなく回答者を100とする満足率を計算したかったが、入手できた資料からは残念ながら計算できなかった。この満足率は、視聴経験率×満足率と同じ値となるが、国民のうちその番組を満足して見ている人の割合を示すことになる。一応、5%以上の視聴経験率だけの番組を取り上げているとはいえ、あまり見られていない番組では視聴者満足率が高くても人気があるとは言い切れないからである。 なお、ビデオリサーチ社によってほぼ独占的に調査され一般に話題となる「視聴率」は、関東地区では600のモニター世帯をランダムサンプリングの一手法である系統抽出法で選び出して機械式オンライン方式で調べられている世帯視聴率であり、ここでのような個人ベースの割合ではない。調査サンプル数がそんなに大きくないので標本誤差も小さくない。番組がテレビに映っていても家族中誰も見ていないかも知れない状態をカウントしないため家族各人別のボタンの入力による測定を行っているとされている(ビデオリサーチ社視聴率Q&A)。 最後に図に掲げた番組について、放映時間を含めた一覧表以下に掲げておく。 視聴経験率の高い番組(上位10番組)
(資料)NHK放送文化研究所「番組総合調査」(同「放送研究と調査」誌に掲載された結果による) (2011年3月10日収録)
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