同じカタカナ語といっても90%以上の国民が意味を理解しているストレス、リサイクル、ボランティアといった言葉と10%以下の国民しか理解していないエンフォースメント(法執行)、コンソーシアム(共同企業体)、エンパワーメント(権限付与)といった言葉があり、両者を一緒にして論じるのもおかしな状況がうかがえる。 2007年度調査の別の質問で、外来語や外国語などのカタカナ語を交えることは好ましいかという問に対して、「好ましい」が14.5%、「好ましくない」が39.8%、「別に何も感じない」が43.7%、「分からない」が2.0%という結果であった。 しかし、ストレスをいう言葉の使用を好ましくないという人は少なく、エンフォースメントという言葉の使用を好ましいという人も少ないと考えられる。 こうした点などより、より重要で驚異的と感じられることは、カタカナ語の理解度がこの5年で大きく上昇したことである。理解度が低下したのはプロジェクト、オピニオンリーダー、フレームワークの3語だけで残りの57語は理解度が上昇しているのである。低下した3語についても1%ポイント未満の低下でありほぼ横ばいといってよい。カタカナ語の使用が好ましくないと考える者が好ましいと考える者よりかなり多いにも関わらず、カタカナ語は日本語としての定着へ向け着々と歩みを進めていると感じざるを得ない。 理解度が上昇した語は、コラボレーション、ログイン、ボーダーレスといった50%前後の理解度のカタカナ語が多く、そのうちログインやウェブサイトなどは近年普及度が進んだコンピューター、インターネット関連の用語である。 外国語に堪能な為政者やインテリが振り回す外国語に対して迷惑だと思いながら理解を示して日本語としても受容し、結果として日本語を豊かにしてきた長い歴史が思い起こされる。律令時代における漢語(中国語)の受容、明治初期において欧米語に対応させて漢語の素養のあるリーダー達が新しい漢字語を造語、それが日本語として受容された時代(civilizationの訳語の「文明」など)、そしていまや漢語の素養がないので欧米語をそのままカタカナ語にして導入しつつある現代へと変遷してきていると考えることが出来る。 (原データ)
(2008年7月25日収録)
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