日本地理学会は、メディアによく登場する10カ国(米国、インド、ブラジル、北朝鮮、フランス、フィンランド、ケニア、スイス、ベトナム、イラク)、及び日本の10都県(東京都、長野県、秋田県、石川県、愛知県、栃木県、奈良県、島根県、愛媛県、宮崎県)について、全国の大学生、高校生に地図上の位置を答えてもらう調査を行った。調査結果によると、図録のように、米国やインドは比較的よく知られていたが、イラク、スイス、ベトナムなどは、正しい位置を答えられない学生が多かった。

 イラク戦争以降、毎日テレビにも出てくるイラクについて、大学生の49.8%、高校生の74.4%が正しい位置を知らなかった。東国原英夫知事で話題の多い宮崎県についても大学生の32.7%、高校生の57.3%が正しい位置を知らなかった。

 1989年に旧学習指導要領が改訂されてから、高校生は世界史だけが必修で、ほかの科目は選択になっているため、地理を履修する生徒は減っており、現在は全体の約半数だという。

 当調査は地理教育の大切さ、地理空間認識の重要性を訴えるため、3年前にも行われ、今回と同様話題となった。ただ前回誤答率で発表されたのに対して今回は正答率で発表されマスコミもそれにならって取り上げたためインパクトは弱まったきらいがある。当図録では前回同様誤答率で表示した。

 前回との比較は、高校生の場合、対象となった高校が地域、進学校か否か等で大きく異なるため単純には比較できない。ただ、イラクの誤答率だけ取り上げると45.9%から74.4%へと大きく上昇しており、さらに地理認識が弱化している可能性が高い。

 前回と対象が似ている大学生の場合、イラクの地理の誤答率は43.5%から49.8%へと上昇している(下図参照)。

(2005年2月27日収録、2008年3月24日更新)


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