藤井聡太竜王(王位、叡王、棋王、王将、棋聖、20)が2023年6月1日、渡辺明名人(39)に名人戦に勝利。藤井竜王は20歳10カ月での最年少名人、かつ最年少の七冠保持者となった(後段参照)。 藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖との五冠)が渡辺明棋王(名人との二冠)に挑戦した将棋の第48期棋王戦五番勝負第4局が2023年3月19日、栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」で指され、132手で藤井竜王が勝利。対戦成績を3勝1敗として棋王位を奪取し、史上2人目にして最年少での六冠を達成した。 将棋の藤井聡太竜王は2022年3月9日にA級への昇級を決めた。A級は将棋界の上位10人が集い、名人挑戦権を争う順位戦の最高位。19歳7か月での昇級決定は、加藤一二三九段(82=引退)が1958年に昇級を決めた際の18歳1か月に次ぐ史上2位の年少記録となった。史上最年少記録つづきだがたまには史上2位の年少記録があらわれかえって新鮮だ。 将棋の藤井聡太棋聖(王位との二冠、2002年7月19日生)に渡辺明名人(棋王、王将との三冠)が挑戦する第92期棋聖戦五番勝負第3局が2021年7月3日、静岡県沼津市の沼津御用邸東附属邸第1学問所で指され、後手の藤井棋聖が100手で勝利。通算成績を3勝0敗とし、18歳11カ月という史上最年少でのタイトル初防衛を達成すると同時に、タイトル通算3期獲得で同じく史上最年少での九段昇段を果たした(渡辺明名人の21歳7か月での九段昇段を大きく凌駕して)。 最年少昇段記録はこれで、五段昇段が加藤一二三九段より遅れたのを除くと、すべて藤井棋聖が獲得したことになる。 将棋の藤井聡太棋聖(18歳1か月)が木村一基(かずき)王位(47)に挑戦する第61期王位戦第4局の2日目が8月20日、福岡市の「大濠公園 能楽堂」で指され、藤井棋聖が勝利。無傷の4連勝で七番勝負を制して王位を奪取し、史上最年少の二冠保持&八段昇段を達成した。 二冠の最年少記録は羽生善治九段(49)が1992年に王座と棋王を保持した際の21歳11カ月で28年ぶりの更新となった。10代の2冠は史上はじめである。また、タイトル2期獲得の規定により八段に昇段し、1958年に加藤一二三九段(80、引退)が順位戦A級昇級で達成した18歳3か月の最年少八段記録を62年ぶりに塗り替え、新記録を樹立した。
参考までに、以下に「年少九段昇段棋士トップ10」を掲げた。1973年以降、史上最年少だったのは、すべて10年から20年の間隔をおいて、中原誠→谷川浩司→渡辺明の各棋士に続いて藤井棋士が4人目であることが分かるが、この地位が今後更新されるとしたら、まだ生まれていない将来の棋士による可能性しか残っていないのではなかろうか。 (八冠達成) 過去の全冠達成者は3人。棋史で初めて全冠を手中に収めたのは升田幸三実力制第4代名人で、王将、九段(竜王戦の前身)、名人を獲得し1957年7月に全三冠を達成した。2人目の達成者は大山康晴十五世名人。翌1958年に升田実力制第4代名人から王将と九段、さらに1959年に名人位を奪取し全三冠を制覇した。さらに、大山十五世名人は1960年にタイトル戦となった王位戦を制し四冠を達成、1963年に棋聖位を獲得し全五冠を制覇した。 さらに羽生善治九段は、タイトルが7つだった時代の1994年に六冠を達成。1度目の七冠挑戦は谷川浩司王将(当時)に阻まれたものの、六冠を防衛後に再挑戦した王将戦で勝利を飾り、1996年に七冠制覇を果たした。羽生九段に続き、4人目となる全冠制覇を果たした藤井竜王・名人だが、タイトル数が8つになって以降の達成は史上初。史上最年少14歳2カ月でのプロ入り以来わずか7年、21歳2カ月で将棋界の頂点に立つこととなった(ABEMA/将棋チャンネルより)。 (七冠達成) 2023年6月1日、渡辺明名人(39)に名人戦に勝利。藤井竜王は、谷川浩司十七世名人(61)が保持していた21歳2カ月の記録を更新し、20歳10カ月での最年少名人となるとともに、本タイトルの獲得で七冠保持者に。羽生善治九段(52)が1996年2月に25歳4カ月で達成して以来、史上2人目の快挙となった。今後、史上初の八冠達成があるのかが注目される。 (公式戦300勝) 2022年12月23日に行われた順位戦A級6回戦で佐藤天彦九段(34)に勝利し、プロ入り後最速・最年少で公式戦300勝を達成した。これまでの記録は羽生善治九段(52)の四段昇段後6年4カ月、21歳7カ月での到達。藤井竜王はプロ入り6年2カ月、20歳5カ月とそれぞれ記録を塗り替えた。さらに本局の勝利で、初参戦の順位戦A級で5勝1敗と単独首位に。渡辺明名人(棋王、38)への挑戦、さらには最年少名人獲得記録更新に向けて大きな一勝を飾った。 (五冠達成) 藤井聡太4冠が、2022年2月12日、王将戦七番勝負第4局において挑戦者の藤井聡太竜王(19)が渡辺明王将(37)を114手で降し、4連勝で初の王将位を獲得するとともに、最年少また史上はじめて10代で五冠を達成した。5冠達成者はこれまで大山康晴十五世名人、中原誠十六世名人、羽生善治九段の3人、そして1993年8月に羽生が22歳10カ月で達成した記録を更新。また王将位獲得も、86年に中村修九段が達成した23歳4カ月を抜き史上最年少を記録。 (四冠達成) 藤井聡太3冠が、2021年11月13日、第34期竜王戦7番勝負第4局において豊島将之竜王(31)に勝ち4連勝で竜王を奪取、19歳3カ月で史上最年少の4冠になった。4冠達成は史上6人目で、これまでの最年少だった羽生善治九段の22歳9カ月(1993年)を28年ぶりに更新した。下図に掲げたように過去の四冠保持者はいずれも一時代を築いた棋士ばかりであり、今回の四冠達成はついに「藤井時代」の幕開けとなった感がある。 (初タイトル棋聖獲得) 将棋の藤井聡太七段は、2020年7月16日、渡辺明棋聖(36歳、棋王、王将と合わせ三冠)に挑戦していた棋聖戦五番勝負の第4局が大阪市の関西将棋会館で指され、110手で勝ち、対戦成績三勝一敗で初タイトルとなる棋聖を史上最年少で獲得した。 これまでの最年少記録は屋敷伸之九段(48)が1990年に達成した18歳6か月で30年ぶりの更新となった。 師匠の杉本昌隆八段(51)は「東海地方にタイトルを持ち帰るという一門の夢をかなえてくれ、感慨深い」と藤井棋聖をたたえた(東京新聞2020.7.17)。 (2018年5月19日段階のコメント) 藤井聡太六段(2002年7月19日生)は2018年5月18日に竜王戦5組ランキング戦準決勝で船江六段を破り4組昇級を決めるとともに、「連続昇級で昇段」という規定で七段に昇段した。 将棋界において中学生で四段以上のプロ棋士となったのは、現在(2018年5月19日現在、以下同様)まで、藤井七段(15)、加藤一二三九段(78)、谷川浩司九段(56)、羽生善治竜王(47)、渡辺明棋王(34)しかおらず、この5人は「中学生棋士」と呼ばれている。 図には、この5人のプロ入り以降、九段までの各段位への到達年齢を示した。これを見れば、藤井七段の昇段の速さがいかに驚異的かが理解されよう。 藤井七段の七段昇段は中学生棋士の中でも最速のプロ入り以降1年7カ月での到達となった。これまでの七段昇段最年少記録は加藤九段(78)の17歳3カ月であり、61年ぶりの記録更新となった。またプロ入り後七段昇段までの期間もこれまで加藤九段の2年8カ月であったのを1年以上短縮するスピード出世となっている。 藤井七段の段位在位期間は、四段在位こそ、1年4カ月とわずか6カ月間だった加藤九段より長かったが、五段在位、六段在位は、それぞれ、16日間、90日間と非常に短く、他の中学生棋士を大きく下回るまさに異例というべき記録であることが分かる。 昇段が余りに速いため、6月10日に予定されている名古屋市内のホテルで藤井七段の昇段を祝うパーティーが、急遽、七段までの三段の昇段を祝うパーティに変更されたという。棋士の昇段を祝うパーティーはよく開かれるそうだが、パーティー前に祝うはずの段を追い越した例はないという。 今後の記録更新については毎日新聞によれば「タイトルホルダーの最年少記録は棋聖を獲得した屋敷伸之九段(46)の18歳6カ月。藤井七段はあと3連勝で秋に行われる王座戦の挑戦権を獲得する。また、竜王戦は次戦5組決勝の石田直裕五段(29)に勝てば2期連続の決勝トーナメント進出。挑戦者になって竜王を獲得すれば最年少で八段に昇段する」(2018.5.19)。 (2018年5月19日収録、7月31日八段・九段の到達年齢まで拡張、2020年7月18日初タイトル獲得、7月26日今後の展望、8月20日更新、11月21日最年少200勝、2021年7月3日九段昇段、7月5日年少九段昇段棋士トップ10、9月13日三冠達成、11月13日・14日竜王獲得、四冠達成、2022年2月12日王将獲得、五冠達成、3月10日A級は史上2位の年少記録、12月24日最年少・最速公式戦300勝記録、2023年2月4日年間賞金1憶円超、3月19日史上最年少六冠、6月1日・2日史上最年少七冠、10月11日史上初の八冠達成,、10月12日全冠達成者図)
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