具体的には、クラス人数が大きすぎるか、カリキュラムが時代遅れ、といった12項目の教育システム上の問題から最大の教育課題(greatest educational challenges)は何かを3択で選ぶ設問に対して、「政治的・イデオロギー的な偏り」(Political/ideological bias)という教育課題を選んだ者の比率である。この課題を「偏向教育」と言い換えることに問題はなかろう。 日本で偏向教育と言うと日教組的(左派的な)特定の歴史観・世界観を宣伝するとされる教育のことを意味することが多いが、世界的には、広く特定の宗教や特定の政治的立場の主張を過度に是とする教育を指すと見なされいると考えられる。 偏向教育を教育上の課題として意識している比率の高い国としては、ポーランド、米国、ハンガリー、韓国、マレーシア、トルコなどが25%以上と目立っている。 ポーランドやハンガリーでは、親EUか親ロシアか(あるいは宗教的立場)、米国では、民主党対共和党の意見の違い、韓国では、北朝鮮や日本に対するスタンス、マレーシア、トルコでは、イスラム教、民族に対する見方などでの偏りが想定される。 世界平均では17%であるのに対して、日本は9%と低く、こうした世界的な教育上のバイアスという視野からすると、日本の偏向教育がそれほど深刻だと見なされていないことは明らかであろう。 米国、日本以外のG7諸国は、米国の31%、カナダの20%を除くと世界平均より低く、高い方からドイツ、英国が16%、イタリアが14%、フランスが13%となっており、日本はG7諸国の中でも最低である。 参考までに、各国で何が教育上の課題としてメインと考えられているかをG7諸国+韓国で比較すると下表の通りである。
クラスの人数が多すぎる(少人数教育)、カリキュラムが時代遅れ、あるいは学校での安全確保(フランスと米国で1位)などが重視されている。日本では、教師の研修(能力向上)、教職員福祉などが上位である点が目立っている。 当図録で取り上げた国は、図の順に、ポーランド、米国、ハンガリー、韓国、マレーシア、トルコ、カナダ、スペイン、タイ、オランダ、アルゼンチン、ドイツ、英国、インド、オーストラリア、ブラジル、アイルランド、南アフリカ、コロンビア、イタリア、スウェーデン、フランス、シンガポール、ベルギー、チリ、メキシコ、ルーマニア、日本、ペルー、インドネシアである。 (2025年9月14日収録)
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