内閣府の世論調査によると、「理想の仕事」の順位は、
  1. 安定収入
  2. 私生活とのバランス
  3. 楽しさ
  4. 専門性
  5. 健康
  6. 職の安定(失業しない)
  7. 世のため
  8. 高収入
という順番になっている。

 こうした順位は、1997年以降、あまり変わっていない。時系列推移では「私生活とのバランス」は2019年から選択肢に加えられたので中間順位として表示している。

 高収入が一貫して最下位なのは少し妙な気もするが、複数回答での優先順位としては、そういうことなのであろう。

 順位が2位以上変化したのは、「失業の心配がない仕事」だけである。この項目は、小泉改革(構造改革)が社会テーマとなっていた2000年代前半は4位と上昇したが、その後は、ほぼ6位と順位を低下させている。ただしコロナの影響が残る2022年は5位に浮上。

 仕事について重視する点を1978年から2008年にかけて3年おきに継続的に調べていた国民生活選好度調査では、バブル経済が崩壊した1990年代前半に、最重要項目が「年収の増加」から「雇用の安定」に転換したのが目立っていた(図録3700)。2008年以降、この調査が行われなくなったため、それを引き継ぐ年次で、この図録を作成したものであるが、「失業の心配がない仕事」が「雇用の安定」に相当しているとすれば、「雇用の安定」志向は一段落しているといえよう。

(年齢別の理想の仕事)

 「理想の仕事」に関する最新2022年の年齢別集計の順位結果を見ると以下のような特徴が見て取れる。
  • 若い年齢層、特に20歳以下では「高い収入」が4位と高いが、年齢とともに低くなり、50代以上では最下位となる。諦めなのか、大人の見方ができるようになるためかであろう。
  • 小さい子供のいる30代では「私生活とのバランス」や「職の安定(失業)」の順位が他の年齢層より高くなっている。
  • 70歳以上になると「私生活とのバランス」や「専門性」はそれ以前より気にならなくようだ。

(2023年10月6日更新)


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