(フリーター)

 フリーターの増加が社会問題化している。フリーター数については、厚生労働省が「労働経済の分析(労働白書)」で公表していたが、内閣府の平成15年国民生活白書(2003年5月末発表)がフリーター数417万人という数字を公表した点に大きな関心が集まった。

 最近のフリーターの人数は、厚生労働省では217万人(2003年)、内閣府では417万人(2001年)としており、約2倍の違いがある。また、いずれの定義によってもフリーターの人数は10年間で倍増している。

 フリーターのとらえ方については、厚生労働省の定義は、フリーターという立場を選択している人(正社員になりたくない人)、内閣府の定義は、フリーターにならざるを得ない立場の人(正社員になれない人)を含むという違いがある。現在無職の人のうち前者はパート・アルバイトを希望する人のみカウントし、後者では、正社員を希望する人を含めてカウントしている点に違いがあらわれている。後者は、正社員になりたくない人となれない人を両方含んでいるので、当然、数は多くなるのである。なお、内閣府定義のフリーターには就業者としてパート・アルバイトばかりでなく最近増えている派遣・契約等も含めているのでなおさら数が多くなっている。

 厚生労働省ではフリーターを最初に平成3年版労働白書で集計しており(フリーアルバイターとして)、当時は、正社員になりたくない人という立場が着目され、そのまま定義が継続したものと考えられる。その後、内閣府2003年の定義では、フリーターの負の側面がより着目された結果、新定義となったものと考えられる。パート・アルバイトで就業している若者の中には、主体的に選択しているものと消極的に選ばざるを得ないものとの両面が当初からあったが、厚生労働省の最初の定義では前者に着目したということであろう。

 内閣府定義の2001年フリーター数では、若年人口(15〜34歳)の9人に1人(12.2%)、学生・主婦を除いた若年人口の5人に1人(21.2%)がフリーターとなっている。年齢別に見ると、1992年には20代前半で最も多かったフリーターが、2001年には20代後半にピークがシフトし、30代でもフリーターが急増するなど、フリーター生活の長期化が懸念される。

 なお、フリーター的存在の問題点としては、以下のような点があげられることが多い。

1)自由を選択していても自由のマイナスの対価が大きいことに気づかず、本人が不利益をこうむったり、不安を感じたりすることが多くなる。

2)若年の職業能力が高まらないため、日本産業の競争力や経済全体の成長の制約となるおそれがある。

3)犯罪の増加など社会不安に結びつく可能性がある。

4)未婚化、晩婚化、少子化などを一層促進し、年金など社会保障制度にも影響が生じる可能性がある。

(ニート)

 最近になってフリーターよりさらに深刻な存在としてニートが注目されている。これは英国における造語であり「Not in Education, Employment or Training (NEET)」をあらわしている。これはフリーターと異なり就職する意思がなく職業訓練もしていない若者を指し、フリーター対策とは別の支援策が必要とされる(毎日新聞2004.9.10夕刊)。

 平成16年の労働白書から、はじめてニートにあたる存在を「若年層無業者」ととらえ、2003年に52万人と集計している。2002年からは4万人の増加となっている。「若年層無業者」は就職意思や男の婚姻関係の点で厳密にフリーターと相互補完的な定義ではないと考えられるがほぼニートに該当するととらえられている。

 さらに2005年3月に内閣府が行った調査(若年無業者に関する調査)によると、ニートの新定義(労働白書と異なり家事手伝いを含む)では2002年に85万人という数字をはじき出している。

(2004年7月5日収録、9月12日データ更新・ニート追加、2005年3月23日新定義ニート数追加)


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