日本の最低賃金については、生活保護の水準を下回っており、引き上げが課題となっていた。このため2007年12月最低賃金法が改正され、都道府県別に定められている最低賃金が見直されることとなっている。

 日本の最低賃金のレベルは、他国と比べて高いのか低いのか。これを調べてみることとする。

 最低賃金のレベルの国際比較としては、最低賃金そのものを為替レートで換算して比較する場合と最低賃金がその国の平均賃金と比べてどのぐらい低いのかで比較する場合とがある。後者を最初の図に示し、前者をもう1つの図として示した。

 日本の最低賃金の相対水準(平均賃金に対する%)は28%とOECD諸国の中で、メキシコ、韓国、トルコの3カ国を除くと最低である。先進国中最も低いレベルといわざるを得ない。

 最低賃金の引き上げでどの程度この相対水準が上がるかであるが、2007年年度の最低賃金(全国加重平均)687円*を大胆にもし1.46倍の1000円にしたとすると相対水準は41%程度と先進国並みに上昇するが、800円(1.16倍)だとすると33%となお最低レベルからは脱却しない。最低賃金を大きく引き上げると中小企業の経営にかなりの影響が出るので一気に状況を改善するのは難しかろう。

*連合HPによる(最低沖縄618円、最高愛知714円) 最新の最低賃金(厚生労働省)

 米国は値の算出に使用した平均賃金が管理職・経営職を除いたものなので実際は日本より低い可能性もある。欧米先進国の中では米英はやはりかなり低い水準である。

 他方、フランス、オーストラリア、アイルランドといった国は平均賃金の相対水準が50%前後と高くなっている。

 最低賃金の絶対水準では、日本の場合、時給5.8ドルと米国、スペインや東欧諸国と比較すれば高いが、西欧諸国に比べればやはり低い水準になっている。

(2008年6月6日収録)


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