しかし、日本にいる難民の数は少ない。人口1000人当たりの難民数(国境を越えて流入)は2023年にドイツが30.7人、フランスが10人、米国が1.2人に対して日本は0.2人という国連の数字もある(ここ)。 フランスの調査会社であるイプソス社は難民の日に「難民に対する世界の意識」に関する報告書を公表している。2025年版のデータから各国で難民支援の行動を過去1年間にとった人の比率をグラフにした。 日本は難民が少ないこともあって調査対象29カ国の中で難民支援の行動率は8%と世界最低である。 同行動率が最も高かったのはインドの57%であり、インドネシアの53%がこれに次いでいた。その他、難民支援の行動率が高い国は、途上国が多く、先進国は低いといる傾向があらわれている。 インドやインドネシアの難民は国境を越えた難民と言うより、紛争や災害で国内で難民となった者が多い(ここ)。 難民支援の行動率はこうした国内難民の多さによっていると考えられる。 先進国で同行動率が最も高いのはアイルランドの34%であり、スウェーデンが31%で続いている。 G7諸国のランキングは、高い方から、イタリア(26%)、米国(26%)、フランス(23%)、英国(23%)、ドイツ(23%)、カナダ(22%)、日本(8%)である。すべて20%台である中で日本だけ10%未満と低くなっている。 同調査では、各国でどんな難民支援の行動がとられているかも調べている。各国の最多行動を表にすると以下である。資金や物品の寄付や難民を支援するメッセージをSNSに投稿という行動が多いが、インド、チリのように難民の就職サポートといった積極的な行動も見られる。
同調査では、難民支援は不足か過剰かという意識も調べている。以下に主要先進国の結果を掲げたが、ドイツだけが「過剰」が「不足」を上回っている点が目立っている。最近の右派政党躍進の理由とも考えられているが、メルケル政権時代の移民・難民支援が行きすぎだったと見るドイツ人が多いようだ。 ![]() 対象国は29カ国、具体的には、図の順に、インド、インドネシア、タイ、南アフリカ、ペルー、アイルランド、マレーシア、コロンビア、メキシコ、スウェーデン、アルゼンチン、スペイン、ブラジル、ポーランド、トルコ、イタリア、オランダ、米国、シンガポール、ベルギー、チリ、オーストラリア、フランス、英国、ドイツ、カナダ、ハンガリー、韓国、日本である。 (2025年7月5日収録)
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