人はどのぐらい孤独感を抱いているのだろうか。内閣官房の孤独・孤立対策担当室が行った「人々のつながりに関する基礎調査」ではこの点が調べられているので紹介しよう。

 質問は「あなたはどの程度、孤独であると感じることがありますか」であり、「決してない」、「ほとんどない」、「たまにある」、「時々ある」、「しばしばある・常にある」の5択から選ぶ方式である。これは直接質問であり、参照のため、つきあい、取り残され感、孤立感の3つの設問の総合点から得る間接質問も行われている。ここでは直接質問の結果だけを扱う。

 男性の4.9%、女性の4.1%が「しばしばある・常にある」と回答しているが、年齢や未婚か既婚かの配偶関係によって違いが大きいと思われるので、「しばしばある・常にある」の回答割合について、性・年齢・配偶関係別の集計結果をグラフに示した。

 以下のような点が読み取れて興味深い。
・孤独感の強い30代未婚男女
最も孤独感を抱いている者が多いのは、男女とも30代の未婚者(男16.7%、女15.3%)である。10代、20代ではさほどでなかった孤独感が30代に入ると急増する点が印象的である。勉学や遊びの仲間が結婚して減ってくるからだろうか。
・結婚で解消する孤独感
未婚と既婚と比較すると男女・年齢別で、いずれの層でもほぼ、未婚者の方がより大きな孤独感を抱いている。
・孤独を紛らわせない未婚の中高年男性
女性の未婚者は40代以上は年齢を重ねるにつれて孤独感を抱く者がほぼ10%程度をピークにだんだんと少なくなるが、男性の場合は、50代〜60代でなお13%台とかなり多い。友達や親族とのかかわりの違いなのか、男性の場合、女性と比べて未婚ゆえの孤独を紛らわすことが難しいようだ。
・孤独な既婚者も一定の割合で存在する
既婚者は孤独感を抱く者が少ないが、それでも男性の場合は40代で4.5%、女性の場合は30代で3.8%とそれほど少なくもないし、性別や年齢を問わず孤独感の一定割合が認められる。配偶者がいたとしても人間が根本的に抱く孤独感ゆえなのか、それとも配偶者と折り合いが悪く孤独感を抱かざるを得ないのかの判別は難しい。
・離婚で孤独になるのは男女とも
離婚後再婚していない離別者の孤独感は男女とも5〜10%と既婚者よりもずっと大きくなる傾向が認められる。女性は離別しても子どもと一緒の場合が多いから孤独感は男性より小さいと思ったがそうでもないらしい。シングルマザーの社会的孤立を反映した結果とも言えよう。
・死別で孤独がます高齢層
死別の場合も離別ほどではないが、当然ともいえるが特に高齢層で既婚を上回る孤独感となっている。

(2022年11月22日収録)


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