(注)2001年5月〜6月調査
(資料)国民生活選好度調査(内閣府)

 

 政府・与党の年金法案と民主党が提案している年金改正法案とが衆議院の厚生労働委員会で、双方の優劣について議論され、衆議院では今後さらに制度検討という与野党合意を付して採決されたが、3閣僚からはじまり党首に及んだ国民年金不払い問題が物議を醸し、与野党の政争が激化し、ついに参議院で政府・与党案が強行採決されるに至った(平成16年4月〜6月)。

 政府・与党案と民主党案の大きな違いは、民主党案における国民年金と厚生年金の一元化や年金目的消費税の導入であるが、不思議なことに、負担と給付の問題ではかなり重要な将来の年金給付水準については双方ほぼ現行平均給与の50%維持で共通しており争点にはなっていない。参議院選を前にして、国民の不評を買いかねない各政党は給付水準の問題には目をつぶっているとしか見えない。

 2001年の意識調査結果では、公的年金の将来の給付水準については、国民のなかで最も多い意見は、「一概には言えない」であり、4割を上回っている。これを除くと「現状維持」「切り下げやむなし」「増加させるべき」が拮抗しており、「切り下げやむなし」と「増加させるべき」を比べると前者がやや上回っている。

 2004年2〜3月時点での、社会保障制度の給付と負担に関する意識調査結果では、「給付水準維持」を合計すると57.8%、「給付水準下げ」を合計すると19.4%と維持がかなり上回った。年齢別に見ると20代で「給付水準維持」は50.0%と最も低く、60〜64歳で65.3%と最も高くなっており、世代間の考え方の違いが目立っている。違いは主として消費税負担の可否によるものとなっている。(世代間の意識ギャップについては図録2920参照)

 公的年金の給付水準と負担方法のさらなる議論、および福祉や医療とのバランスにまで踏み込んだ更なる議論が必要である。

(2004年6月19日データ更新)


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