顧客名簿、ネット登録情報など企業に蓄積されている個人情報の流出事件があとを絶たない。

 2011年には、ソニーのプレステを使ったインターネット配信サービス(全世界で7700万人が登録)で個人情報がハッカーの手によって流出、詳細が調査中である。

 2009年には、三菱UFJ証券のシステム部元部長代理によって持ち出された全個人口座にわたる顧客情報のうち約5万人分が名簿業者に売却され、不動産や商品先物取引業者など転売・再転売先が何十社にも及び、しつこいマンション勧誘などの被害の苦情が多数三菱UFJ証券に寄せられている。

 図には主な個人情報流出事件の流出人数を掲げた。ソニーの900万人(アジア、多くが日本)が最も多く、大日本印刷の864万人、ソフトバンクとKDDIの事件が450万人程度で続いている。

 以下に主な個人情報流出事件の概要のまとめを示す。

主な個人情報流出事件
発覚
時期
会社名 人数 内容
2004年
2月
ソフトバンク 460万人分 ブロードバンドサービス「ヤフーBB」の顧客情報が記録されたDVDを入手した代理店関係者らがソフトバンク側に現金を供給。警視庁に逮捕される
2004年
3月
ジャパネットたかた 51万人分 元社員2人がパソコン用記録媒体に顧客の個人情報を記録するなどして流出
2004年
4月
コスモ石油 92万人分 自社発行のクレジットカードの個人情報が流出。会員の自宅に覚えのない債権回収通知が届く
2004年
5月
三洋信販 116万人分 消費者金融の貸付残高などの信用情報を含む個人情報が流出
2004年
6月
阪急交通社 62万人分 ツアー参加者の個人情報を、社員が名簿業者に数十万円で売り渡す。社員は懲戒解雇
2006年
6月
KDDI 450万人分 インターネット接続サービス「DION」の契約者の個人情報が流出。恐喝未遂事件に発展
2007年
3月
大日本印刷 864万人分 下請けのシステム会社元社員が、ダイレクトメール作成委託先43社の顧客の個人情報を流出
2009年
4月
三菱UFJ証券 148万人分 元部長代理によって持ち出された全個人口座の顧客情報のうち約5万人分が名簿業者に売却され、転売先によるしつこいマンション勧誘などの被害
2011年
4月・5月
ソニー 900万人分(アジア) 国際的なハッカーグループの攻撃により、世界中で1億人以上の個人情報が流出。個人情報にはクレジットカード情報を含む可能性があることで大きな問題に。(注)
(資料)毎日新聞2009.4.18(三菱UFJ証券についてについては当図録によるまとめ)、

(注)2011年のソニーの個人情報流出の経緯は次の通り。「ソニーグループが世界で展開しているゲームや映画などのインターネット配信サービス「プレイステーション・ネットワーク(PSN)」と「キュリオシティ」が外部から不正な侵入を受け、利用者の住所、メルアドなど個人情報が流出。世界で約1000万枚というクレジットカードについても情報流出の可能性を否定できないとしている。サービスの利用者数(登録数)は世界約60カ国で約7700万人、うちアジアは約900万人で大半が日本という。ソニーの発表の遅れなどが批判される中、5月に入り、さらにパソコン向けオンラインゲームを運営する米子会社「ソニー・オンラインエンタテインメント(SOE)」がやはりハッカー攻撃を受け、最大で利用者約2460万人分の個人情報(日本については18.5万人、うちクレジットカード情報約4300件)が流出した恐れがあると発表され、サービスが停止された。こちらのサービスは、不正アクセスで一時アクセスを停止後、4月21日に個人情報流出はないと判断して利用を再開していただけに、ソニーへの不信はさらに増大した。さらに5月に入り、24日にはギリシャで8500人分、25日にカナダで2000人分の個人情報流出が現地のWebサイトから流出。」(毎日新聞2011.4.27、2011.5.1、2011.5.3、2011.5.25、2011.5.26)

(2009年4月18日収録、2011年4月27日・5月1日・5月26日ソニー追加)


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