生活の質の向上にとって「生活の安全」は重要である。このため、交通安全とともに街の治安に対して各国が取り組んでいる。治安については、実際の犯罪率とともに体感治安、すなわち安全を感じられているかにも関心が払われるようになっている。図録2785aでは、犯罪率と体感治安の相関についてふれたが、ここでは体感治安の男女差(ジェンダーギャップ)を取り上げる。

 体感治安の指標としては、意識調査における「住んでいる地域で夜ひとりで歩くのが安全と感じるか」の割合が参照される。図録では、「安全でない」と感じる割合を掲げた。

 OECD平均では男性は17%が安全でないと感じているが、女性は31%がそう感じている。図に掲げたいずれの国でも女性の方の不安の方が男性より大きい。ジェンダーギャップを男女差を女性の割合で割った値で示しているが、OECD平均では45%である。

 OECD諸国のうち女性にとって体感治安が最も悪いのはチリであり、コロンビア、メキシコ、コスタリカなどのラテンアメリカ諸国がそれに続いている。

 他方、OECD諸国のうち女性にとって体感治安が最も良いのは、ノルウェーであり、ルクセンブルク、スイスがこれに続いている。

 日本の女性にとっての体感治安は27.5%であり、OECD諸国の中では中位水準にある。

 日本の体感治安は、女性が27.5%、男性が11.5%であり、ジェンダーギャップは58.2%である。OECD平均のジェンダーギャップは45.0%なので、日本の方がギャップが大きい、すなわち女性が安心できない国となっている。

 主要先進国(G7諸国)をジェンダーギャップの大きい順に掲げると、

 1.カナダ
 2.日本
 3.米国
 4.ドイツ
 5.イタリア
 6.フランス
 7.英国

という順になっており、主要先進国の中では日本の体感治安に関するジェンダーギャップは大きいと言わざるを得ない。

 英国は男女とも体感治安は日本より悪いのであるが、男女差と言う観点から日本より良い状況である。

(2022年3月6日収録、2025年2月1日更新)


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