
凡例の順番は世界平均の信頼度(「信用できる」割合)の順位である。信頼度の高い順に、医師、科学者、教師、レストランの給仕スタッフ、軍人、一般の男性/女性、警察官と続き、逆に、信頼度の低い順に、政治家全般、SNSのインフルエンサー、広告担当幹部、政府の閣僚、経営者、政府職員/公務員と続いている。
これらの職業についてはカラー線などで国による違いが明確になるよう工夫している。中間的な信頼度の職業については共通のグレー線であらわしている。国の順番は左から所得水準の高さで並べた(左は先進国、右は途上国)。 国別の職業別の信頼度については次のような特色が見てとれる。個別には以下のコメントを参照されたい。
信頼度の高い職業の方から見て行こう。 医師は32か国中16か国とちょうど半分の国で1位となっている。科学者は8か国で1位となっているに過ぎないから、医師への信頼度の高さは世界共通だということが分かる。医師への信頼度の高さは先進国、途上国の差には関わりがないことも図から判る。 医師は信頼度がこのように世界的に高く、また収入もよいということで、能力のある青少年が目指す憧れの職業となっているのは当然だろう。 国際的に医師が信頼されていることから、医師が主導する国連の専門機関である世界保健機関(WHO)、あるいは国際民間援助団体であるNGOの中でも医師がつくる「国境なき医師団」に対する世界からの信頼度も高くなっている。 いくつかの国では医師への信頼度がそれほど高くない場合があり、こちらの方が何らか説明が必要だろう。医師への信頼度が、米国は4位、韓国は5位、ルーマニアでは7位と高くない。米国は医療費の高さで嫌われているのかもしれない。ドラマや映画による憶測だが韓国では貴人の奴婢的な存在だったためかもしれない。ルーマニアの理由は不明であるが、「コレクティブ 国家の嘘」という汚職医師問題を暴くドキュメンタリー映画が2019年に公開されており、そうした状況が影響している可能性があろう。 2番目に信頼されているのは科学者であるが、科学者を1位に挙げている国は中進国に多いようだ。 先進国ではスウェーデンで科学者が1位となっているのが目立っている。やはりノーベル賞の国だからだろう。 3番目に信頼されているのは教師であるが、教師の場合は、先進国ではそれほど信頼度が高くなく、1位となって居るのはもっぱら途上国だという特色がある。日本では12位と異例に低い信頼度が目立っている。 警官の信頼度は国により極端に異なっている点が特徴である。警官への信頼度が1位であるのはシンガポールだけである。先進国ではこのほかドイツで警官への信頼度は高いが、アイルランドや英国ではかなり低い。日本も7位とそれほど高くない。一方、途上国ではメキシコ、タイで18位、インドネシアで19位など警官への信頼度が非常に低い国が多い。やはり、汚職警官の多さによるのだろう。 今回の調査で最大の意外事項は、レストランの給仕スタッフ(店主、ウエーター、ウエイトレス)が米国と英国で1位となっている点である。この2国では、客の個人情報をけっして漏らさないという信頼を得ている職業なのだといる文化的な特異性がうかがわれる。アイルランド、オランダ、コロンビアでも2位と高い。そうした職業倫理が特にないアジアでは、この職業への信頼度は高くない(シンガポール、韓国、日本、マレーシア、タイ、インド)。 軍人(自衛官)は信頼度の高い方の職業であるが(そうでないと安心できない)、軍事クーデターがときどき起きるタイのように下から2番目と非常に評判が悪い国もある。日本は5位であり、米国、カナダの2位にはかなわないが比較的評判がよい。 信頼度が低いのは政治家一般、先進国ではSNSのインフルエンサーや広告担当幹部の信頼度も低い 次に、信頼度の低い方の職業である。 政治家一般が最低であり(最低ランクの国が15か国)、政治家が就くことの多い閣僚、政治家が指揮する公務員など政治がらみでは信頼度が世界的に低い点が目立っている。 日本では、政治とカネの問題、政治家の不始末などの頻出から、政治家への信頼は地に落ちた感があるが、これは、世界共通の現象だと理解しておく必要がある。 下から3番目以上の国はめずらしい。シンガポールは下から6番目、オランダ、ベルギー、スウェーデン、フランスでは下から3番目であるが、これらの国の政治家は相対的にはむしろ信頼度が高いとも言えよう。 信頼度の低い職業として目立つようになっているのが「SNSのインフルエンサー」である。世界14カ国で最低ランクとなっている。ネットで利益誘導的な情報提供が多いと見なされているのであろう。ただし、評判が低いのは先進国であり、途上国ではそれほど低くないのも特徴である。広告担当幹部も似たような傾向を見せている。 経営者(ビジネス・リーダー)も評判のよくない職業であるが、これは、国によってかなり異なっており、コロンビアの8位、ルーマニアの9位、イタリアの11位のように比較的評判のよい国もある。政府職員/公務員も国によってかなりばらつきが大きい。 日本の特徴は世界と比べ教師への信頼度が低く、法曹関係・公務員が高い点 上の表には、世界順位と日本順位の差(相対順位)を示したが、日本の教師の相対順位は+9と世界平均より比べて大きく低くなっている。そのほかの職業では、世論調査員とジャーナリストが+4と教師に次いで信頼度の相対順位が低くなっているが、教師ほどではない。 関連して、反対に、世界順位より高くなっている職業として目立っているのは、裁判官、弁護士、政府職員/公務員であり、世界順位より−5となっている(すなわち5位高い)。日本では法曹関係者や公務員に対する信頼度は高いが、世界では、依怙贔屓や汚職なども多く、その評判は日本よりもずっと低いのだということを理解しておく必要があろう。 例えば、法曹関係のうち弁護士の順位を見ると日本は3位の裁判官に次ぐ4位と世界一高い信頼度である。 訴訟大国と呼ばれる米国では弁護士への信頼度が17位と主要国の中でも特に低くなっている。米国のテレビドラマでも弁護士が口八丁で悪の蔓延を手助けしている姿が繰り返しテーマとして取り上げられている。私的な感想であるが、米国の弁護士の生態を描いたドラマとして「ベター・コール・ソウル」(ボブ・オデンカーク主演、2015〜22年)は傑作だと思う。 韓国では、元検察官が大統領になるなど司法の影響力は日本より大きく、その分、裁判官にせよ、弁護士にせよ、それぞれ、14位、13位と日本の真逆といってよいほど信頼度が非常に低い点が目につく。 日本で司法職への信頼度が高いのは、裏を返せば、日本では生活面における司法の浸透レベルが低く、その結果、いわば馬脚があらわれていないためと言う皮肉な見方もできよう。 (2025年1月2日収録、11月17日凡例順の解説を純信頼度から信頼度に修正、11月18日コメント見直し)
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