欧米諸国の特徴は「トランプ」や人生ゲームなどの「ボードゲーム」で遊ぶ人が多い点にある(注)。 (注)ボードゲームのさかんなドイツでは研究や保存も国を挙げての事業になっているらしい。「独南部ニュルンベルクの研究機関「ドイツ・ゲーム・アーカイブス」は、公的支援を受けて30年前に設立された。図書館を再利用した建物に、第2次世界大戦後のドイツ製を中心に3万点以上を保管する。「テレビゲームが盛んな現代でも、家族や友達がテーブルを囲んで会話しながら楽しめるボードゲームの人気は衰えない。ドイツの伝統文化の一つと言ってもいい」と、シュテファニー・クシル専門員は断言する。ドイツのボードゲームは第2次大戦後の復興が一段落したころから、安価な娯楽として一般家庭に定着した。ボードゲームには戦争の机上演習によって発展した歴史がある。戦勝国の米英では戦後も、戦争をテーマにしたゲームが多数作られたが、敗戦国ドイツではタブーだった。「それがかえって独自の発展を促した」(クシル氏)という。皮肉好きなドイツ人らしい作品も少なくない。89年のベルリンの壁崩壊から四半世紀となった昨年発売された「我々は一つの国民だ!」は、東西分断下のドイツが舞台。共産主義と資本主義のどちらが人々を幸せに出来るかをテーマに、生活水準の向上を競う。04年発売の「ハルツ4」は、シュレーダー前政権下の身を切る労働市場改革を扱った。財政悪化で「欧州の病人」と呼ばれたドイツで、福祉制度を駆使しながら正規雇用の枠を競う。皮肉がきき過ぎたのか人気はいま一つだったようだ」(朝日新聞2015年12月4日)。 また、クロスワードパズルや数独などの数字パズルがさかんなのも米国を除く欧州の特徴である。特にフランス人はこれらを好む者が最も多い点で目立っている。 アジアでは、こうしたゲームはそれほど好まれていない。アジアの特徴は、日本を含めて、コンピューター・ゲームが好きな点である。その他、日本では「ギャンブル」が好まれているが、これはパチンコがさかんであるためだろう。韓国では、ユンノリなど伝統的なゲームで遊ぶ者がもっとも多い点が特徴である。アジアでは、囲碁やマージャン(麻雀)といったアジア文化圏ならではのゲームもさかんである。 ギャンブルへの回答率に焦点を当てたギャンブル愛好度国際比較は図録2681を参照されたい。日本は世界34か国中7位と高い。 下には、各国でよく遊ばれているゲームについて3位までを示した表を掲げた。国の順番はトランプ比率の高い順で並べ替えた。また、そもそも「ゲームはしない」と回答した者の比率も掲げておいた。 1位が通常と異なるゲームなのは、フィンランドや南アフリカの「ギャンブル」である。フィンランドは宝くじとスロットマシーンなどが非常にさかんらしい。フィリピンでは「チェス」がトップである。また、ドミニカ共和国で「ドミノ」が圧倒的に多いのも目立っている。 なお、「ゲームをしない」の回答率が最も高かったのはポーランドの61.2%だった。逆に最も低かったのはフィンランドの0%だった。日本は51,7%、8位であり、ゲーム好きではない方、あるいはゲームに興じる余裕はない方のようだ。
(2014年10月13日収録、10月20日補訂、2015年12月4日ドイツのボードゲーム事情の(注)追加)
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