(注) HIV感染者とは感染症法に基づく後天性免疫不全症候群発生届により無症候性キャリアあるいはその他として報告されたもの。AIDS患者とは初回報告時にAIDSと診断されたものであり、既にHIV感染者として報告されている症例がAIDSを発症した場合は法定報告から除かれている。HIV感染者数は検査を受けて初めて判明する場合が多いので実際は報告以上に多く、AIDS患者は特定の症状を有することが多く医療機関を受診するので報告数は実際数に近いと考えられる。なお、凝固因子製剤による感染はこの報告の対象外とされている。
(資料) 厚生労働省エイズ動向委員会「エイズ発生動向報告」


 HIV(ヒト免疫不全ウイルスhuman immunodeficiency virus)の感染者は、症状のないキャリアか、このウイルスによって発症している患者のどちらかとして発見される。前者をHIV感染者、後者をエイズ(AIDS)患者として、毎年、医師から新たに報告された数の推移を図に掲げた。前者は新たに感染が見つかった者であり、後者は感染が見つからずに発症した者である。エイズ(AIDS)患者数からは既往のHIV患者のAIDS病変は除かれているので、両者を合わせると新たに発見されたHIV感染者の総数となる。出所は厚生労働省エイズ動向委員会のエイズ発生動向報告である。

 2017年の確報ではHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数は1,389 件と2007年以降で最少となった。これまでのピークは2013年の1,590 件である。

 2009年は、HIV感染者1,021件、エイズ(AIDS)患者431件と合計が1,452件となり、久方ぶりに減少した。なお昨年までは過去最大値の更新だったので年計発表の時期に報道されたが減少が判明した2010年には報道されなかった(それで当図録の更新も遅れた経緯がある)。失業率などとも共通であるが、悪化は報道されやすく、改善は報道されにくい。結果として、報道に敏感な者は世の中を実態より暗めに見る傾向が生じる。

 なお、各年末現在の感染者数・患者数は、過去の累積数から死亡者数を除いた数がそれに当たる。

 次の図では、国籍・男女別に推移をたどった。


 国籍別男女別の内訳をみると日本籍男性が多くを占めている。下表に見るとおり、日本籍男性の感染経路はHIV感染者、エイズ(AIDS)患者について同性間の性的接触が異性間に比較してかなり多くなっている。

 世界のHIV・エイズの状況については図録2260参照。
 都道府県別の分布については、図録7345参照。

感染経路別HIV感染者・AIDS患者数(2017年末現在)
診断区分 感染経路 日本国籍 外国国籍
HIV 異性間の性的接触 3,015 782 459 860 5,116
同性間の性的接触*1 11,061 4 757 1 11,823
静注薬物使用 41 2 31 3 77
母子感染 17 10 6 9 42
その他*2 331 40 70 28 469
不明 1,234 126 448 561 2,369
HIV合計 15,699 964 1,771 1,462 19,896
AIDS 異性間の性的接触 2,241 264 307 230 3,042
同性間の性的接触*1 3,490 3 187 2 3,682
静注薬物使用 28 4 27 3 62
母子感染 9 3 1 6 19
その他*2 201 26 32 17 276
不明 1,220 98 379 158 1,855
AIDS合計*3 7,189 398 933 416 8,936
凝固因子製剤による感染者*4 1,421 18 1,439
*1 両性間性的接触を含む。
*2 輸血などに伴う感染例や推定される感染経路が複数ある例を含む 。
*3 平成11年3月31日までの病状変化によるエイズ患者報告数154件を含む。
*4「血液凝固異常症全国調査」による2011年5月31日現在の凝固因子製剤による感染者数
(資料)厚生労働省エイズ動向委員会「エイズ発生動向報告」

(2005年6月23日収録、2007年2月8日更新、2008年5月21日更新、2009年6月23日・9月25日更新、2010年12月6日更新、2011年2月8日更新・速報、5月23日確報報道、6月6日動向報告、9月28日更新、2012年2月25日2011年速報値、5月24日同確定値、2013年2月22日2012年速報、8月31日同確定値、2014年3月3日2013年速報、5月24日確定値、2015年6月27日確定値、メインの図を感染経路別に変更、国籍・男女別は付図として末尾に掲載、2016年1月24日確報内訳、8月16日更新、2018年10月31日更新)


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