厚生労働省の国民健康・栄養調査では、日本人の健康リスクの一つとして飲酒習慣について調査している。2010年調査では飲酒との関連でこれまでケガをしたことがあるか(自分か他人)を聞いているので、その結果をグラフにした。

 50代男性が11.2%と最も飲酒上のケガが多く、40代、60代男性がこれに次いでいる。20代は4.9%と男性の中でも最も少ない。

 この設問の対象からは、そもそもお酒を飲まない、飲めない人が除かれているが、やめた人は含まれている。

 お酒をやめた人は余り多くない(全体で2.7%)なので、例えば50代の男性は、おおむね、お酒が飲めるようになった20代から飲んでいると考えられる。つまり、飲酒生活は20代より50代の方が30年ほど長い筈である。従って、飲酒が原因のケガに遭遇する確率も50代の方が20代よりずっと大きい筈である。その割に、飲酒が原因のケガの比率は、加齢によって伸びていないし、60代からはむしろ低下している。これは、回答者が昔のことは忘れてしまっているか、それとも若い世代の方がケガをする確率が高まっているかであろう。回答者が昔のことを忘れていることはないとしよう。後段の図で飲酒習慣を持つ者の割合を性・年齢別に見ているが、若い世代の方が少なくなっている。すなわち若い世代は酒を飲まなくなっている。これらを考え合わせると、昔はコミュニティや企業の宗教上、親睦上の慣習があって、誰でも酒を飲んだが、近年は、飲酒習慣が限定され、ケガに遭遇しやすそうな者が飲酒の習慣をもちやすくなったということなのかも知れない。

 女性は男性に比べて飲酒が原因のケガにあう確率は小さい。男性8.6%に対して女性2.8%なので約3分の1の確率である。年齢別には30代で5.0%と最も多くなっており、男性が50代がピークなのと比較して、明らかに若い。これは、昔と異なって盛り場に繰り出す若い女性が多くなっているからであろう。もっとも女性の場合は回答数規模が小さいので標本誤差が大きく確定的なことは云いにくい。

 参考のために以下には飲酒習慣のある者(ある程度以上の頻度と量のお酒をたしなむ者)の比率を掲げた。


(2012年7月9日収録)


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