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実際に、人口動態統計から、2018年にインフルエンザで亡くなった人の男女・年齢5歳階級別の人数を図に示した。 データを見ると、高齢者とは言っても予想以上に高い年齢層で亡くなる人が多かったことに気づかされるのではないだろうか。すなわち、65〜74歳のいわゆる前期高齢者と比べて、75歳以上のいわゆる後期高齢者、中でも85歳以上の超高齢層で亡くなった人が圧倒的に多かったのである。 男女計の年齢割合では、75歳以上の死亡が84%に上っており、そのうち85歳以上だけでも6割にも達しているのである。 5歳階級ごとでは、男性では80代後半、女性では90代前半の死亡者数が最も多い。 そうなると、余り外出しないと見られるこうした年齢層がどこでインフルエンザウイルスに感染したかが問われよう。高齢者施設などでの感染か、同居する、あるいは訪問した子や孫から感染したと考えるほかない。新型コロナも同様だとしたら、こうした点をめぐる予防対策に重点を置くべきではなかろうか。 男女別の特徴として男の死亡が多い点にも気づく。55〜59歳以上の各5歳階級の死亡数について男女を比べると、80〜84歳までは、男の方が女より死亡数が倍近くである場合がほとんどなのである。 図では、表示選択で、人口10万人あたりの死亡数(死亡率とも呼ぶ)についても、男女・年齢5歳階級別の値を示したが、これを見れば、死亡率が超高齢層で顕著であることと並んで、女性と比較した場合の男性の死亡率の高さが明確であろう。 男性の方がウイルスに感染しやすいのか、それとも感染した場合に重症化しやすいのか、そのどちらか、あるいは両方であろう。 この点については、海外の医学雑誌でも事実が指摘され、ホルモンの違い、あるいはオスの方が性進化の中で生存にとって余計な機能が多いなどといった動物一般と共通する種々の要因仮説が提出されているようである。 新型コロナウイルスでは、余り男性の方が女性よりリスクが高いとは言われていないようだが、この点はインフルエンザとは異なるのであろうか。 また、新型コロナでは、子どもは感染したとしても症状が軽いと言われており、だからかえって周りに感染を広げてしまうという問題があると考えられている。インフルエンザではどうだったかというと、やはり、10歳未満の子どもは、少なくとも2018年には、男子が7人、女子が12人とかなり少なかった。すなわち、重症化する子どもが少ないというのは、別に新型コロナだけの特徴であるとは言えないようだ。 (2020年3月8日収録)
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