2009年に流行した新型インフルエンザでの各国の死亡率を比較したグラフを見ると、日本は198人、人口10万人対比0.15人と非常に死亡率が小さかった。 2.2009年における各国感染者・死者数動向(WTO) 新型インフルエンザの世界における感染状況をグラフにした。 最初に2009年7月時点の状況図、次ぎにフェーズ6に入った時期の図、第3に2009年5月9日(日本における初の感染確認日)の状況を対比させた。 データはWHOのWHO, Influenza A(H1N1) virus−Current situationによる。感染者数は地域によって大きな違いがあることを踏まえ、見やすいグラフにするため、対数目盛であらわしている点に留意されたい。 7月6日累計を最後にWHOからは各国別の感染者数は報告されなくなった。これは、WHOがラボによる確認済の患者数の報告を各国から求めることを止めたからである。これ以降は、新規の発生国等にラボ確認済の報告は限られることとなった(これ以降のWHO公表値は国別から地域別に変更となった。図録1952にこれを掲げた)。 (7月8日) 感染拡大。英国、タイの他、南半球、アルゼンチン、オーストラリアなどで感染者、死者増加。アジアではタイで感染者、死者がトップに。 (6月26日) 世界的に感染拡大。特に南半球で急増。はじめて、欧州(英国)、及びアジア(フィリピン)で死亡者が発生。アジアでは中国が日本を上回る。日本の感染者数千人を越える。 (6月15日) WHOは2009年6月11日、警戒レベルを世界的な流行を意味する「フェーズ6」に引き上げると宣言。南半球のオーストラリアに続いてチリ、アルゼンチンで感染者拡大、チリで死者も発生したのを受けた格好。日本政府はフェーズ引き上げでも特段の対応策の変更なしとしている。 (6月8日) 米国の感染者数が1万人を越えている。英国の感染者数が再度日本を越えた。またオーストラリアの感染者数が急増し、英国や日本の2倍以上となった。冬季に入る南半球での感染拡大が懸念されている。 (6月5日) 厚生労働省は4日新型インフルエンザの感染確認者の中で最も早い発症日が5月5日だったと発表した(東京新聞2009.6.5)。この感染者は国内渡航歴のない神戸市の男子高校生であり、時間稼ぎということで進められていた水際対策で5月9日に感染者が確認された時点では既に国内で感染が広がっていた可能性が高いことが明らかになった(図録1953a参照)。 (5月28日) 世界とともに日本国内でも発生地域、感染者数が増加しているが、ウイルスが弱毒性であることから過剰な対応は不必要である点が認識されてきた。日々の新規の確認感染者数がマスコミで報道されるようになり、それが世界でも日本でも増加しているわけではないことから新型インフルエンザが沈静化の方向に向かっているのではないかとの認識が広がりつつある。 (5月19日) 日本で海外渡航者以外の感染者(神戸市高校生)が16日に確認されてから兵庫県、大阪府で感染者が急増。日本が米州諸国以外では最多の感染者数の国となった。今のところ死者は米州に限られている。 日本では水際対策から国内封じ込め対策に重点がシフトしつつあるが、現在のところ弱毒性なので強毒性ウイルスを前提にした新型インフルエンザ対策の厳しさをこの1週間の様子を見ながら緩めるかどうか判断する情勢。 (5月15日) 現在のところ、米大陸(米州)での感染者が多く、欧州、アジアはスペイン、英国を除き、さほど人数は増えていない。死者数も米州に限られている。 (5月9日) 日本においては、2009年5月9日に、大阪府寝屋川市の府立高校の男性教諭と高校2年生2人、合わせて3人について、新型インフルエンザの国内発の感染者が確認された。彼らは、カナダ・オークビル市内での国際交流事業などに参加して、7日にカナダ・トロントから米国デトロイトに移動し、8日午後4時半過ぎにデトロイト発ノースウェスト航空25便で成田空港に到着した後、機内検疫及び空港内で感染が疑われ、国立感染症研究所が実施した遺伝子検査で新型インフルエンザへの感染が確認されたものである。 (2009年5月9日収録、5月15日、5月19日、5月28日、6月5日(コメント)更新、6月8日、6月15日更新、6月26日更新、7月8日、9月9日更新、2010年11月2日追加・更新)
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