各国ともに合計特殊出生率は低下している。合計特殊出生率の水準自体をみると、東南アジアや南アジアの国々は、タイを除くと、なお、高い水準にあるが、中国、香港、マカオ、シンガポール、日本、韓国といった東アジア諸国は、おおむね、かなり水準が低くなっており、欧米水準並み、あるいはそれ以下となっている。 全体的に、1990年の時に合計特殊出生率が高かった国ほど、急速に値を低下させていることがうかがえる。図について最高値の国と最低値の国との差は、1990年には4.7であったが、2010年には3.0と大きく縮まっている。 2010年に中国は1.7とすでにかなり低い水準となっているが一人っ子政策の影響及び子供の教育費の高さによるものであろう。ただ、中国人系の国であるシンガポール、香港、マカオあるいは歴史的に中国文化の影響の大きい日本、韓国でも出生率が欧米と比較してもかなり低くなっており、所得水準の上昇以上に出生率が低い点では共通していることから、これらの国では、科挙の伝統や儒教的精神の影響による教育熱の高さから出生率が低まっているという風に見れないこともなさそうである。すなわち、子どもの人数を減らさないと一人一人に高い教育を与えるのが無理なのである。 図録1550では、日本、韓国を含んで先進国における時系列推移の国勢比較を行っているので参照されたい。 なお、出生率の低下は人口ピラミッドの形に影響する。フィリピンの例を図録8170に掲げたので参照されたい。 以下に、線がダブって見にくくなるなどの理由で図示をあきらめた国も含めて原データを掲げる。 アジア諸国の合計特殊出生率
(資料)World Bank, World Development Indicators 2014.2.15 (2004年8月7日収録、8月8日データ追加、2006年10月25日更新、2014年2月15日更新)
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