20〜40代の合計で見てみると、以下のような状況となっている。
米国、フランス、スウェーデンの同棲中の比率は、20代から40代にかけて減少している。これは、@若い世代ほど結婚より同棲を選ぶ習慣が広がっているため、A同棲が長くなって結婚にチェンジする者が一定程度いるため、B高年齢の新たなカップルは同棲より結婚を選ぶため、という3要因が考えられよう。 特にフランスの30代と40代とで、同棲比率が大きく異なっているのが目立つが、フランスではそれぞれの年代がカップルを形成する年齢に同棲慣習が一気に広がったためと考えられる(図録1520でふれたフランスにおける婚外子割合の大きな変化にもこれがあらわれていると考えられる)。 韓国では若年層の未婚率が日本以上に高くなっているのが目立っている。NHK海外ネットワークでは、「特集:韓国で急増「シングル族」」と題してこの点を報じている(2011年10月1日放映、紹介HP)。結婚して家族の中で果たさなければならない役割の大きさから、結婚せずに仕事に生き甲斐を見出す若い女性が増えているというのだ。 フランスやスウェーデンで同棲が多いのは、、フランスのPACS(パクス、連帯市民協約)やスウェーデンのサムボのように同棲を法的に保護する制度があり、これを利用して同棲している者も多いためである。 フランスで正式に結婚するためには教会で挙式する必要があり、また離婚するには双方が合意していても裁判を行う必要がある。これに対して、PACSのカップルになるのは裁判所に書類を提出すればよく、PACS を解消するにも書類を提出するのみでよいなど手続きが簡略化されている。PACS を結んだカップルは、課税など一部は異なるものの、概ね結婚に準じる法的保護を受けることができる。スウェーデンのサムボも同様である。日本の結婚・離婚は、双方の合意がありさえすれば、市町村への結婚届と離婚届の提出だけでよく、実は、フランスのPACSに近いものと言える(コラム参照)。 年齢別の出生率(下図)から分かるとおり、日韓の出生率の低さは、年齢全般の低さと遅いピーク年齢という2面がある。後者は、出生率のピークがフランス、米国では20代後半なのに対し、日韓は30代前半であることにあらわれている。 少子化対策として、出産の遅れ防止につながる早期のカップル化を促すため、日本でもヨーロッパのような事実婚への保護制度を新たに整備すべきだという論調が見られるが、既に日本の結婚制度は手続きがかなり容易なので、新たな制度によるカップル促進効果は薄いと考えられる。
(2012年1月2日収録、2013年5月29日コラム追加)
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