内閣府では、高齢者の意識を探る調査を5年おきに定期的に実施している。この30年間の意識変化の中で際立っているのは、自分の子どもや孫との同居志向である。「いつも一緒に生活できるのがよい」という回答の比率は、1980年には59.4%と「ときどき会って食事や会話をするのがよい」の30.1%の2倍近くであったが、その後、前者は傾向的に減少し、後者が傾向的に増加したため、2005年には、ついに逆転し、後者が前者を大きく上回るに至っている。とくに1995年以降の変化が大きい。2005年には「たまに会話をする程度でよい」まで、それまでの5〜6%からいっきに14.7%へと増加している。背景としては、年金、医療、福祉など社会保障の充実があげられよう。

 さて、こうした高齢者の同居志向にかかわる意識は、他国と比べてどうなのだろう。内閣府では、対象国を日本の他、米国、韓国、ドイツ、フランス、スウェーデン(年によって若干変わる)とした「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」を行っており、このなかで、この点を調査している。

 日本は、衰えたといえども他国と比較するとなお同居志向が高いことが分かる。「いつも一緒で生活できるのがよい」とする比率は、6カ国の中でもっとも多くなっているのである。高齢者の主たる収入源として「子どもなどからの援助」が最も多い韓国(図録1320)でも、同居志向は日本より低いのが印象的である。家族の絆が強いということと同居と言うことは必ずしも一致しないといえよう。

 フランスなどは「たまに会話する程度でよい」が46.6%と最も多く、よく言えば、個人主義が徹底している、悪く言えば親子の間に距離がある国柄であることが、うかがえる。

 具体的な同居比率や別居の子どもとの接触については図録1309参照。

(2007年1月4日収録、2011年6月13日更新)


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