各国には高齢の年金生活者はどのくらいいるのであろうか。ここでは、内閣府が行った「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」により、年金を主たる収入源とする高齢者を年金生活者とし、その割合の推移を見ることにする。最初に公的な年金と私的な年金の合計の推移を掲げ、次の図で、両者を別々に追った推移を掲げた。

 欧米先進国ではかなり以前から高齢者は年金生活で暮らす者が多かった。ドイツ、フランス、スウェーデンでは、かなり前から8割以上の高齢者が年金生活者だった。米国でも5割を越えていた。

 日本は1980年の段階では38.7%と半数以下であった年金生活者が年金制度の充実で増加し、現在では、欧米と遜色のない水準となっている。一方、韓国は、なお13.2%(2010年)と年金生活者は少数派である。

 公的年金と私的に年金に分けて見てみると、ドイツ、スウェーデンは公的な年金が主であり、フランスや米国は私的な年金(日本の企業年金、個人年金に相当する年金)も大きな役割をもっているという違いがある。日本はほとんどが公的な年金である。韓国も公的な年金が多い。

 日本の変化としては、上昇してきていた「公的な年金」の割合が2005年に73.9%をピークに下落に転じ、一方、「仕事による収入」が2005年の17.7%から2010年の24.3%へと上昇したのが目立っている。これは、年金給付年齢の引き上げの流れの中で(例えば特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢は2013〜25年度に60歳から65歳へ引上げ)、高年齢者雇用安定法の改正で、60〜64歳の雇用を確保する対策が企業に義務付けられた影響によるものである(高齢者労働力率についての図録1400参照)。

 2015年にかけては「公的な年金」の割合が71.9%とやや戻している。

 下には、参考のために、日本について、年金以外を含めた主たる収入源の推移を追った(最新時点の構成比の帯グラフは図録1320)。年金生活が普及する前には、仕事による収入や子どもなどからの援助、財産収入で暮らす高齢者が多かった。


(2015年5月16日収録、2018年3月8日更新、2022年6月23日更新)


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