原資料が図に付したタイトルは「大陸間の移動は大陸内の移動ほど多くない」である。たしかに大陸内の国際移動が多いことが一目瞭然である。 ただし、最大の移民送り出し大陸であるアジアからヨーロッパ、あるいは北米への移民数はかなりの規模となっている点が目立っている。その次に多い大陸間移動は、アフリカからヨーロッパへの移民だろう。 以下は、原資料によるこの図の解説である。 「左側では、人々がどこから移住してきたかがわかる。右側では、それらの人々がどこへ移住したのかがわかる。これが外国生まれで定義される移民の移動状況である。 たとえば、4,100万人がアフリカの国から移住している。そして 2,300万人がアフリカの国に移住している。太い紫色の線からわかるように、アフリカからの移住者の約半数 (4,100万人のうち 2,100万人) が別のアフリカの国に移住している。 アジアとアフリカも例外ではない。ヨーロッパと北米からの移民は、自国に留まる傾向がさらに強く、ヨーロッパからの移民の70%、北米からの移民の87%が、同一地域内の別の国に移住している 。南米では、その割合は49%と低いものの、他の大陸に移住する移民の数と比べると、依然としてはるかに多くなっている。 なぜ移住者のほとんどが同じ大陸に留まるのだろうか? 移住の理由は非常に個人差があるため、明確な答えはない。しかし、いくつかの理由でこのパターンを説明できる。 まず、国境を越えるのは、厳しい条件を満たさないと入国を認めない国もあるため難しい場合があり、また安全でない場合もある。国境を越える回数が少ないほど、多くの場合、より簡単で安全である。2つ目の障害はコストだ。移動には費用がかかるため、多くの移民は近隣諸国に移動するしかない。3つ目は、言語や文化を共有したり、家族が近くにいたり、安く早く帰国できる場所を好む人がいる点である。最後に、多くの大陸には、同じ地域の国々間の移動を政治的にもロジスティック的にも容易にする地域協定があります。この例としては、西アフリカのECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体) やヨーロッパのシェンゲン協定がある」。 (2025年1月4日収録)
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