全体として、各地域で人間開発指数は上昇傾向にあり、諸国民の生活状況は改善されつつあることが示されている。また先進国と指数の低い国との格差も全体としては縮まりつつある。 最も指数の高い欧米・日本などの先進国(OECD高所得国)では、安定して指数が上昇している。 2番目に指数の高い中東欧・旧ソ連諸国では、1990年代の前半に急激に指数が低下した。これは、ソ連の崩壊による社会混乱が大きな理由と考えられる(ロシアについて図録8985参照)。その後、社会の再建に伴い、指数は回復に向かっている。 3番目に指数の高いラテンアメリカは一時期はアジア諸国と比べて指数が高かったが、近年の指数の伸びはそれほど大きくない。 東アジア諸国と南アジア諸国は近年指数の伸びが目立っている。特に東アジアは1990年以降大きな伸びを示し、ラテンアメリカに近づいているのが目立っている。NICS諸国、そして中国の経済発展の影響が大きい。 サハラ以南アフリカは、その他の地域とは異なった動向を示している点で目立っている。1980年代に南アジアと指数レベルが逆転し、1990年代に入って、他地域が指数を伸ばしているのと対照的に指数そのものが低下している。地域開発の遅れ、エイズの影響(図録2260参照)が大きいことがこうした人間開発指数の低迷につながっていると考えられる。全体としては、先進国と指数の低い国との格差も全体としては縮まりつつあるが、アフリカは例外である(例外の理由のひとつとして人為的な国土の植民地分割があげられる−図録9420参照)。 (2006年12月6日収録)
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