水産白書(平成20年度版)によれば、水産物の小売価格に占める生産者受取価格は24.7%と4分の1に過ぎず、青果物では生産者の受取が4割以上となっているのと比較しても非常に少ない。すなわち水産物では流通コストの占める割合が非常に大きい。

 これは水産物の特性によるところが大きい。

 水産物は季節による生産量の変動が大きい上、特に日本の場合少量多品種の魚介類が分散して生産されるという特徴を持っている。このため青果物が基本的に消費地市場のみであるのに対して水産物は漁港において魚種や魚体、生鮮・加工ごとの仕訳・セリ等を行う産地市場と築地市場に代表される都市における消費地市場という二段階の市場構造を有している。

 このため産地出荷経費が生産者の受け取り価格に匹敵する大きなウエイトを占めている。

 また水産物は腐敗しやすく、消費者は鮮度に対する要求が高いため、水産物は野菜に比べ、温度管理や切り身への調理等が必要である上、小売段階での売れ残りや腐敗損耗等のリスクが大きい。

 このため、小売経費が4割近くと大きなシェアを占めている。

 こうした背景から肉と魚の価格逆転傾向が生じ(図録0410)、魚介類の消費低迷につながっている。流通コストの合理化や産地での切り身加工やスーパーへの多種一括納入などの新たな対応が求められているといえよう。

(2009年9月24日収録)


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